「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年05月26日
[058]量子コンピュータへ一歩前進か、日本の頭脳。

 私たちが現在利用しているPCは、0と1の組み合わせでステップ順に演算を行う、いわゆるチューリングマシンともノイマン型コンピュータとも呼ばれています。この方式のコンピュータは、1940年代の大戦中に暗号解読や兵器開発を目的として誕生して、はや70余年。そろそろ高速化、性能アップが物理的な限界に近づいているそうです。
 今では1台のPCにいくつものCPUが入っているのが当たり前になりましたが、PCが速くなったという実感はあまり感じません。ソフトウェアが肥大化したのか、性能への要求が高すぎるのか。
 CPU能力の頭打ちだけではなく、映像の高画質化、インターネット世界の拡大、ビッグデータの分析など処理すべきデータが飛躍的に増大しているのも原因かもしれません。そういえば、性能が何倍になったとか、処理能力を大型コンピュータと比べたりする広告も見なくなりました。

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 そんな中、筆者が注目している次世代のコンピュータ、量子コンピュータの開発に大きな一歩が踏み出されました。

量子テレポーテーション心臓部の光チップ化に成功
-量子計算機など実用化へ前進- : 物理工学専攻 古澤 明教授
 量子力学の原理を応用することで、現代技術の限界を超える究極的な大容量通信(量子通信)や超高速コンピューター(量子コンピューター)が実現できると予測されています。その実現には、光子に乗せた量子ビットの信号を転送する量子テレポーテーションの技術を確立することが最重要課題の一つです。しかし、従来の量子テレポーテーション装置は、大きな光学定盤上に何百もの光学素子を配置して実現されており、拡張性において限界に達していました。
 東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授のグループは、量子テレポーテーション装置の心臓部である量子もつれ生成・検出部分の光チップ化に成功しました。この光チップでは、これまで約1平方メートルの光学定盤上に非常に多くの光学素子を配置して構成していた量子もつれ生成・検出部分を、26ミリ×4ミリ(0.0001平方メートル)のシリコン基板に微細加工したガラスの光回路により実現しました。これは実に1万分の1の大きさに縮小したことになります。


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(引用:東京大学工学部サイトより 2015年3月31日)

 残念ながら筆者には、量子コンピュータについて正確に解説する能力はありません。わかる範囲で言うと、0か1かではなく、0でもあり1でもある重ね合わせた状態をもつ演算素子の組み合わせで、論理回路を構築したコンピュータのようです。この素子をN個組み合わせると、理論的には2のN乗のステップを同時に扱えます。
 量子コンピュータのメリットとしては、超並列的な計算が得意ということです。ノイマン型コンピュータがステップ順にしか処理できない問題を、量子コンピュータは2のN乗のステップを並列処理で一度に処理できます。そのため何千年かけても解けないはずの暗号も、量子コンピュータならたちどころに解いてしまうのではと言われています。
 いままでの暗号がすべて無意味になってしまうほどの高速処理が期待される量子コンピュータ。すでに2011年には、東工大の西森教授の『量子アニーリング』理論をもとにカナダで「D-WAVE」と呼ばれる量子コンピュータが誕生していますが、本命はまだこれからとも言われています。
 筆者の期待はCGやシミュレーション用PCの高速化です。映像の作成(レンダリング)ではちょっとした変更でも一晩かかることはザラでした。ピクサー並みのクリエイティブ環境がPCでも実現できるとしたら、誰でも徹夜せずにCG映像を作り出せる時代がやってきます。

 軍事目的が先行する先端技術ですが、日本で生まれるコンピュータには科学利用、民間利用を優先してほしいものですね。(水)

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参考資料:
世界で初めて、「シュレディンガーの猫」状態にある光のテレポーションに成功!
「シュレディンガーの猫」、「EPRパラドックス」。量子力学や不確定原理について語られる際に必ず出てくるこれらの思考実験及びその概念が、登場してからおよそ100年。この春、実現が難しいとされるこれらの有名実験を組み合わせ、「シュレディンガーの猫」状態にある光のテレポーテーションに成功し世界を驚かせたのが、東京大学の古澤明先生。(大学ジャーナル 2011年12月号(Vol.97)に掲載)
(引用:「大学ジャーナル」より)
http://djweb.jp/hint/science/hint97_01.htm

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