「できる!」ビジネスマンの雑学
2015年06月25日
[080]監視社会の護身術-3 ウェブ広告攻防戦の最新ニュース

 先週、このコラムで
「[075]監視社会の護身術-2 Webサイトの広告を減らす方法」
をお伝えしたばかりですが、その続報です。

 ウェブから広告を取り去るプラグインとしてご紹介した「Adblock Plus」ですが、その広告削除機能を無効化するツールが開発されているそうです。

元Google社員が「全ての広告削除ツールを無効にする」技術を開発中
 ウェブページ上から広告を削除してしまう「Adblock」などの広告削除ツールと、ウェブ上で広告を表示させるコンテンツプロバイダーの間では、日夜激しい攻防が繰り広げられています。そんな中、元Googleの社員が新たに「全ての広告削除ツールを無効にするツール」の開発に取り組んでいることを明かしました。
(中略)
 AppleがiPhoneとiPad向けの次期Safariに「広告ブロック機能」を搭載する見込みであったり、広告が大きな収入源となっているGoogleでは広告削除ツールにより2014年は約66億ドル(約8000億円)もの損失を出していたりと、シリコンバレーの大手企業とも密接に関わる広告削除ツールですが、Sourcepointの出現でその勢力図に何かしらの変化が起こることは間違いありません。
Gigazine 2015年6月19日)
http://gigazine.net/news/20150619-former-google-adblock-stop/

 広告ブロックによるGoogleの年間損失の推定が昨年だけで約8000億円とのことですが、金額の真偽は別にしても、Googleにとって「Adblock」の存在は大きな痛手になっているようです。

 新聞やテレビ番組から広告を削除することは不可能でしたし、広告をブロックするという選択肢そのものがありませんでした。ウェブサイトも同様だろうと巨額の広告費を払ってきた広告主に、ウェブ広告が簡単に外せることを知られると、かなりばつの悪いことになりそうです。ウェブサイトはPV(ページビュー)が正確にわかり、効率の良いメディアですとさんざん宣伝してきたGoogleやサイト運営者にはあってはならない事態です。

15062501.jpg

 ところが驚くべきことに、ネット広告をクリックしているのはほとんどの場合、ボット(プログラム)だとの調査結果もあります。

ネット広告のクリック数のうち88~98%はボットによるものだと判明
 ウェブ上に表示されている広告を一体誰がどれくらいクリックしているのか明らかにするため、Oxford BioChronometricsの研究者であるアドリアン・ニール氏とサンダー・コーウェンホーヴェン氏は、2015年1月の7日間、Google・Yahoo!・LinkedIn・Facebookといった主要な広告ネットワーク上での広告クリック調査を実施しました。この調査の結果、広告クリックの88~98%がボットにより行われていることが明らかになりました。
(中略)
 調査結果から、オンライン広告は過剰請求を行っており、実際には現在支払われている金額に見合うような需要は恐らく存在しない、と記しています。
Gigazine 2015年2月13日)
http://gigazine.net/news/20150213-online-click-bot/

 要するにアクセスしているのはネットを飛び回るプログラムで、そのヒット数を根拠に、ネット広告会社は高額の広告費をせしめているのではとの報告です。この問題のポイントは誰がネット空間にボットを放っているのかですが、それについての報告はありませんでした。いったい誰のための自作自演でしょうか。ただ、これが真実ならもう広告などにつきあう必要はなさそうですね。

 特定企業の広告はそのまま出てしまうとの指摘はありますが、「Adblock Plus 公式サイト」のリンク先をお知らせいたします。
Adblock Plus 公式サイト
(アクセスするとIE、Firefoxを自動判別します)

【注意】
 インストールに際しては、説明をよく読み自己責任で行ってください。
 ほかにもさまざまな方法で広告をブロックするプラグインがあります。
広告とのつきあい方によって適切なものを選ぶといいでしょう。

 しろうと考えですが、近いうちにこうなるのは目に見えていませんか。
1)広告ブロック機能が出る(広告オフ)
2)広告ブロックを無効化するツールが出る(広告オン)
3)無効化を有効化するツールが出る(広告オフ)
4)その有効化を・・・

 実際そうなりつつありますが、これ以上いたちごっこにならないことを祈るしかありません。

 アップルが発表した新しいiOS 9では、ウェブ広告をブロックする機能がつくと噂されています。もしこれが本当ならアップルはGoogleへ挑戦状をたたきつけるようなものです。

 しかもアップルが提供するニュースサイトではウェブ広告がブロックされることはないそうです。この事態をGoogleが黙って見過ごすはずがありません。新しいiOS 9 が登場する今秋には、もう一波乱ありそうです。(水)

コメントを書く
お名前
URL
コメント
書籍購入はこちら 語学音声アプリ 公開中 閉じる