「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年04月04日
[526]ホントに満足?ホップのような香りのビール

 ビールがおいしい季節になりました。

 キメ細かな泡立ち、ホップのさわやかな香りとほろ苦さに、ぐいぐいといくらでも飲める(気がする)ビールは、これからの季節になくてはならないアルコールドリンクですね。

 ところがこのビールに、いらぬおせっかいをする研究が発表されました。

ホップなしでホップの香り、持続可能なクラフトビール製法 研究
 研究論文によると、米カリフォルニア大学バークレー校(University of California, Berkeley)の科学者らはDNA編集ソフトを使用し、醸造用イーストのゲノムを操作して、ミントとバジル、さらに通常のイースト2つの遺伝子を接合した。通常は醸造工程でホップを加えて作り出される風味がこの方法ではさらに増したという。
 結果は非常に良く、テイスティングに参加した近くのクラフトビール醸造会社の従業員らは、従来の醸造法でできたビールよりもホップの香りが強いほどだと述べたという。
 ホップは栽培時に非常に多くの資源を消費する作物だ。1杯のクラフトビールを作るために、その50倍の水がホップの栽培だけで必要となるとされる。【3月21日 AFP】(c)AFP/Patrick GALEY
AFPBBニュース 2018年3月21日掲出)


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※ホップに咲いた毬花

 ホップがたくさんの水を消費しているのがいけないような書き方ですが、ビールそのものが生産過程で大量の水を必要としています。その量はどのくらいでしょうか。

Q:1本のビールをつくるのにはどれ位の原料が必要ですか?
大瓶1本を作る際には、大麦を両手にひと盛、ホップの乾燥花を10個、水が3~4L必要です。
A:大瓶は1本633ml。両手にひと盛の大麦はgにすると約110~120gです。ホップの乾燥花10個は約1g。水は仕込みで使う他に、洗浄殺菌や冷却にも使われ、全部で3~4L必要です。
「サントリー・お客様センター」より引用)

 筆者は何度かビール工場を見学していますが、仕込みの水よりも冷却やビール瓶を洗ったりするほうに多くの水が使われていると聞いています。

 また、麦芽の大元であるビール麦の生長に必要な水量が計算されていないのはなぜでしょう。それを言ってしまうと、ビールがビールでなくなってしまうからでしょうか。

 植物のホップが花(毬花:きゅうか)をつけるまでには、5~8メートルに育つ必要があり、その生長のために水は欠かせません。ただし、その水の多くは雨水でまかなえるものです。

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※毬花の中にある黄色い粒が香りと苦みの素、「ルプリン」

ところで、私たち日本人がほぼ毎日食べているお米はどうでしょう。

お米の栽培には、たくさんの水が必要です。
1kgのお米を生産するのに必要な水は、何リットルでしょうか?
3つの中からえらんでください。
ア. 約15リットル(バケツ一杯)
イ. 約200リットル(ドラム缶一杯)
ウ. 約5,000リットル(タンクローリー一台)

答えは、5,000リットルです。
「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」より )

 一日当たり200グラムのお米を食べるとすると、私たち日本人は毎日1,000リットルもの水を消費していることになりますが、それを問題にする人と会ったことがありません。

 こうした数字から考えると、ホップの水消費量などあまり気にする必要はなさそうですね。

 人工のホップ香料が「持続可能」な論拠にはならないわけですから、あとはこのビールがビールとして存在が認められるかどうかだけでしょう。

 庭でホップを耕作している筆者は毎年、夏に収穫した新鮮な毬花をビールに入れていただいています。

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※缶ビールに生ホップの味は・・・

 採れたての生ホップの香りと風味は、まさしく格別なもの。他のものに変える必要がまったくないことは言うまでもありません。(水)

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