「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年08月29日
[584]自動運転タクシーの営業走行始まる。東京都内

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、選手や観客が利用する交通機関を自動運転で走らせると、東京都や関係省庁などが宣言しています。
 2年前の2016年に当コラムでこの話題を取り上げた際には、いまにも実現しそうな勢いがありました。

[248]話題の自動運転、公共バスで実現間近!がんばれ左側通行陣営
(2016年06月06日掲出)

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 しかしながら、2020年まで残された時間は、あとわずかに2年。本当に都内を走らせることが可能なのか。誰しもその未来図を思い浮かべることは難しそうです。

 今年3月、自動運転をリードしていたアメリカで、自動運転車による世界初の死亡事故が発生しました。

 実証実験で夜間走行中のウーバー社のクルマに、道路脇から突然、女性が飛び出すという不運なケースでした。街灯もガードレールもない真っ暗闇の道でしたから、おそらく人が運転していても衝突は回避できなかったでしょう。それでもこの事故が及ぼした影響は大きなものでした。

 というのも、この事故に加えて、テスラの自動運転システムで2件の死亡事故が起きており、米国内ではすでに3件の死亡事故を数えます。

 事故のあった州ではこれまで大歓迎していた実証実験を中止せざるをえませんでした。自動運転の安全性について見直しが始まった米国では、その実現は足踏み状態に陥っています。

 そんな逆風の中、日本で今年8月から、自動運転のタクシー営業が静かに始まっていました。

タクシーが客乗せ自動運転 世界初、都内で実証実験スタート
 車の自動運転技術を手掛けるベンチャーのZMP(ゼットエムピー、東京)とタクシー大手の日の丸交通(東京)は27日、一般客を乗せた自動運転タクシーの実証実験を東京都内で始めた。タクシーが自動運転で公道を営業走行するのは世界で初めてという。平成32年をめどに無人の完全自動運転での商用化を狙う。
産経ニュース 2018年8月27日掲出)

 今回の実証実験では自動運転とは言いながらも、安全対策も施されています。

 「発進や停止、右左折などは自動だが、安全のためドライバーと補助者が同乗する。」
(前出産経ニュースより)

 つまり、自動運転とは言いながら、人が運転するタクシーよりも人件費がかかるのは明らか。おそらく採算は度外視してでも、いま始めないと間に合わないということなのでしょう。

 しかし、運転しないプロドライバーに加えて補助者まで乗り込むタクシーとは恐れ入ります。

 これを悪いジョークととるか、テスト走行だからと大目に見るか、判断は分かれますが、乗客を乗せて一般道を走るわけですから、致し方ないのかもしれません。

 自動運転のタクシー営業が始まった翌日、興味深い記事を見つけました。

トヨタがウーバーに550億円出資 自動運転分野で提携
 トヨタ自動車は27日、米配車大手のウーバー・テクノロジーズと自動運転技術で提携すると発表した。トヨタはウーバーに5億ドル(約550億円)を出資。利用者が車に相乗りするライドシェアサービスと、自動運転車を組み合わせた技術の実用化に向け両社が協業を強化する。
 トヨタの発表によると、自動運転技術を同社のミニバン「シエナ」に搭載した専用車両を開発。2021年にも、ウーバーのライドシェアサービスに、この専用車両を投入する。
産経ニュース 2018年8月28日掲出)

 日米の民間企業では、実用化に向けた布石は着々と進んでいるようです。

 実は、不注意や判断力の低下、ルール違反による人災とも言える交通事故は、自動運転では起きないと目されています。

 運転の苦手な人、高齢者ドライバーなどから、徐々に自動運転に移行していくのが理想なのかもしれませんね。(水田享介)


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