「できる!」ビジネスマンの雑学
2019年02月20日
[649]『三国志』時代、曹操の白磁、見つかる

 劉備、諸葛孔明、曹操が活躍した3世紀前後、古代中国のお話『三国志演義』は、日本のみならず漢字文化圏ではいまも人気がありますが、もともとは陳寿の手になる歴史書『三国志』を底本としています。

[388]Eテレ「100分de名著」で「三国志」を学ぶ
(2017年05月08日)

 このころの日本について記した『魏志倭人伝』は、実はこの『三国志』の第30巻に収められており、その当時の日本と『三国志』の世界がつながっていたことがわかります。

 『三国志』の登場人物たちも架空の存在ではなく、現実に存在していた歴史上の人物なのです。

 それがウソではない証拠に、中国では2009年に曹操の墓が見つかったと発表しています。

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※曹操畫像(1607年)

 さらに今回、中国から驚きの発表がありました。

曹操の墓と見られる遺跡で出土のつぼ 最古の白磁か
 「三国志」に登場する古代中国の英雄、曹操の墓とみられる3世紀の遺跡から出土したつぼが、この時代には存在しないとされてきた「白磁」の特徴を持っていることが分かり、調査に当たった東京国立博物館の研究チームは、これまでの発見例を300年以上さかのぼる最古の白磁だとしています。
NHK NEWS WEB 2019年2月20日掲出)

 最古の白磁が副葬品に収められる人物といえば、墓に眠っているのは相当の高位の人物に間違いなさそうです。しかもこれまでの発見を300年も遡るとはただごとではありません。

 現にいま東京・上野で開催中の白磁の展覧会では、白磁の誕生を6世紀から7世紀としています。

 「白磁の誕生と展開」(東京国立博物館/東洋館)
 期間:2019年1月2日(水)~ 2019年4月21日(日)
 本特集では、「白磁の誕生と展開」と題して、中国の白磁がいつどのように生まれ、展開したのかという問題をとりあげます。ここで注目するのは、隋から初唐、おもに6世紀末から7世紀にかけて華北地方に現れた高火度焼成の白磁です。北朝以来、中国には西方から高価な金銀器やガラスの器などがもたらされるようになり、貴族たちの生活を柏やかに彩りました。「初期白磁」というべきそれらは、こうした背景のなかで誕生したものと推測できます。
東京国立博物館・公式サイトより引用)

 曹操は後世の物語では悪役として描かれることが多い人物ですが、「魏」の基礎を作った建国の王です。

2019022002.jpg
※曹操のイメージイラスト

 中国の貴族たちがそれを手にする300年も前に、白磁を持つことができた人物といえば、貴族を上回る身分、国王しか考えられません。そしてそれが曹操だとしたら、そして出土した白磁が曹操の愛玩品だとしたら・・・。

 物語の世界にすぎなかった『三国志』の世界が、遺品と共にいっきに身近に迫ってきました。

 しかもこの白磁は、もうすぐ日本にやってくるそうです。

 このつぼは、ことし7月から東京国立博物館で開かれる特別展「三国志」で展示される予定です。
(NHK NEWS WEB 前出記事)

 「漢」王朝の古い体制に変わり、律令国家を築いたのが曹操と言われています。この制度に習って国家を作ったのが大和朝廷で、日本という国家の誕生につながっています。

 来日する白磁は今の日本を見てどう思うのでしょうか。古代へのロマンがいっそう広がりますね。(水田享介)

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■関連リンク
東京国立博物館 公式サイト
https://www.tnm.jp/

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