「できる!」ビジネスマンの雑学
2019年05月15日
[681]役に立たないって誰が決めたの?

 世の中には、人を評するとき二種類に分類する言い方があります。「使える」人、「使えない」人。「役に立つ」人、「役に立たない」人。言い方はやまほどありますが、結局は自分にとってその人は、プラス評価か、それともマイナス評価かという区分けです。

 プラス評価なら上等。どちらでもなければまだしも、マイナス評価はいただきたくないもののひとつです。がんばっているのにマイナス評価とは、極端に言うと「役立たず」の烙印を押されるようなものですから。

 言われた本人がこの言葉を真に受けて意気消沈し、時には本当に役に立たなくなってしまうことさえあります。

 しかしながら、評価する側はある時は気楽に、そして別の時は評価とは違った思惑からこう言っているだけという事もしばしば見受けられます。

 「使えないやつ」と言われたとき、わたしたちはどうすればいいのでしょうか。筆者も若い頃にはしばしばこう言われ、悲しく佇むほかなかった経験があります。
 いえ、口にこそ出さねど、今でも誰かの心の中でこうつぶやかれているかもしれません。

 「役立たず」と言われ続けて、約百年。冷ややかな視線にもめげなかった役立たず達が、ついに役に立つ日がやってきました。残念ながら、ヒトではありませんが・・・。

"役立たず"から 豚1000頭分のワクチン
 「世界でここにしかいない」という生き物が福岡県の九州大学にいます。「種の保存」だけを目的に育てられ、何の役にも立たないと思われてきました。でも、実は人や動物の命を感染症から救うかもしれないということが分かってきたのです。(福岡放送局記者 金子泰明)
(中略)
 実は九州大学には、世界的にも類を見ない450種類ものカイコがいて、「種の保存」だけを目的に、人知れずおよそ100年にわたって繁殖が続けられています。
NHK NEWS WEB/ビジネス特集 2019年5月13日掲出)

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 カイコといえば皇室で育てられている「小石丸」が有名ですが、この研究室にはそんなエリートカイコはいないようです。実用性はなさそうだけれど、タイプの違うカイコたちが450種類も飼われてきました。

 このカイコは何のために、どんな役に立つのか。そんなことはとりあえず考えないで、すべての種を保存することに決めた研究者達がいて、それを百年も引き継いできたことは驚きです。

 かつて明治維新前後にヨーロッパではカイコが疫病で全滅したそうです。そのとき世界のシルク産業を救ったのが、日本のカイコでした。最初はカイコの卵をシートで、次には生糸の状態で輸出されました。

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 明治初頭、日本の稼ぎ頭だったカイコたちが百年を経て、再び世界の注目を集めるとは、うれしい話ですね。

 どんな問題もすぐに結論がでるなら、こんなに楽なことはありません。そのことに思い悩む必要も、ケアする義務も、リカバリーの責任もすべて自分とは関係ないと言い切れるからです。

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 しかし、わずかな差、小さな違いをめざとく見つけては、モノや人を不要なものとバッサリと切り捨てる考えが本当によい考えなのでしょうか。

 たとえ今は良くても、そんな生き方を続けていては、混沌から創造性を育てることは不可能となり、手助けしてくれる仲間たちや次の時代を引き継ぐ後輩たちが育つことは決してありません。(水田享介)

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