「できる!」ビジネスマンの雑学
2023年10月13日
[834]10月14日は「鉄道の日」

 あす、10月14日は「鉄道の日」です。

 昨年は新橋-横浜間に初めて鉄道が敷かれて150年目ということで、様々な催しが開催されました。

 当コラムでもいくつかのイベントをご紹介しました。

[740]東京メトロ×佐賀県 大隈重信スタンプラリー。今月末まで。
(2022年10月21日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2210/012149.html

 鉄道導入に熱心だった大隈重信侯は、筆者が卒業した早稲田大学の創立者でもあり、侯の業績についてはそれなりに学んでいたつもりでした。
 しかし、新聞の特集記事を読むまでは、鉄道敷設がこれほどまでに大変だったとはまったく知りませんでした。

鉄道走って150年...けん引役・大隈重信の「自国建設ルール」と「一生の不覚」とは
 鉄道の経営権を外国に握られれば日本は植民地同様になってしまうと考えた大隈は、「許可書の日付が王政復古の号令後で、幕府に許可を出す権限はなかった」という理由で許可は無効と回答...。
 ...大隈と伊藤が鉄道は自国で建設するという原則を死守し、早期にそれを実現して米国の介入を阻んだことは、その後の鉄道発展の礎になった。
読売新聞オンライン/丸山淳一 2022年10月12日)

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 日本が開国する前から、列強各国の商人達が一攫千金の夢を見て、日本に乗り込んできていたそうです。そして、植民地でやってきた手法で利権を手に入れようと暗躍していたことが、新聞記事からわかります。
 それに対抗しようにも、江戸幕府には人材も知識もないため、次々と不利な契約を結んでしまいました。

 実際に日本初の鉄道は、所有権も収益もひとりの米国人商人が独占する契約となっていました。

 それ以外にも事件は度重なります。幕末の1861年にはロシア軍が対馬に上陸し宿営地を建設。対馬の永久租借を要求する事件(対馬事件)が発生。英国の外交力を借りてようやく退去させています。

ロシア軍艦の横暴阻止した「対馬事件」...犠牲になった島民たたえ、歴史伝える二つの碑
 1861年(文久元年)、ロシア軍艦「ポサドニック号」(長さ約70メートル、360人乗り)は、対馬中央部の浅茅湾に上陸。湾奥部の海岸一帯を基地化...。
 海岸部を不法占拠した半年の間、宿舎や波止場、砲台場、鍛冶場、家畜小屋などを建て、井戸を掘るなどした。
読売新聞オンライン 2023年6月14日)

 このほかにも幕末の箱館戦争の最中、プロイセンの貿易商が北海道を租借する契約(ガルトネル開墾条約事件)を結んでいたため、後に明治政府が買い戻しています。

   ◆

 21世紀のこんにち、日本全国に高速道路網が張り巡らされ、空港に至っては全国百カ所を越えるほど。充実した交通インフラをもつ今の日本では、鉄道のありがた味は薄れつつあります。

 150年前、外国列強は日本を植民地化しようと圧力をかけ続け、それをはね除けた日本人達が確かに存在しました。その結果が今の日本の形となっています。

 「鉄道の日」は蒸気機関車が走った記念日というだけではなく、明治の日本人達の不屈の精神に思いを馳せる日でもあるようです。(水田享介)

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