「できる!」ビジネスマンの雑学
2024年01月29日
[860]なぜ電動キックボードの違反が減らないのか

 昨年、2023年7月から突如として解禁された電動キックボード。

 東京郊外に住む筆者はあまり目にすることはありませんが、都心ではこのタイプの乗りものが無秩序に走り回るようになったようです。

 解禁後、半年が過ぎた今月(2024年1月)、その結果はどうなったでしょうか。警察庁の発表では、全国で7130件の交通違反を摘発したそうです。

電動キックボードの交通違反 先月1879件
半年間で4倍以上に
去年7月から運転免許なしで乗ることができるようになった電動キックボードの利用者の交通違反は先月1879件と、半年間で4倍以上に急増・・・。
改正法の施行から先月末までの半年間に、電動キックボードの利用者が交通違反で摘発されたケースは全国で7130件・・・。
NHK NEWSWEB 2024年1月24日

 その内訳は
1位)《速度を抑えたモードに切り替えないまま、歩道に進入するなどの「通行区分違反」が3440件》
2位)《信号無視が2685件》
3位)《一時不停止が463件》
4位)《酒気帯び運転が37件》

 スピードを出したまま歩行者区域に入ったり、信号を無視したりしたわけですから、かなり危険な走行があったとしか思えません。

 記事では死亡事故はないと伝えていますが、昨年12月1日、長野県軽井沢町で大型バスと出会い頭衝突事故で亡くなった女性がいらっしゃいます。女性が乗っていた機種は時速20キロ以上出るモデル(※)とわかり、道路交通法違反の疑いもあるとして調べています。
(※ 最高速度が20キロ以上出るものは「原付きバイク」と同じ区分になり、免許やヘルメット着用が必要)

電動キックボード「使用を控えて」道路事情
観光客多く歩行者に危険及ぶ可能性も
死亡事故受け...軽井沢町が呼びかけ
12月1日、軽井沢町の国道18号線の交差点で、町内の女性が運転する電動キックボードと高速バスが出合い頭に衝突、女性が死亡した。
県内では初の人身事故となった。女性はヘルメットを被っていなかった・・・。
長野放送 2023年12月28日

 筆者はかつてバイクライダーでした。バイクに乗るときは、たとえ真夏でも革の手袋と革ジャン、丈夫な長ズボン、ライダーブーツという装備でした。ひとたび転倒したとき、むき出しの皮膚の部分はアスファルトの路面で激しく削り取られて、大けがをすることがわかっているからです。

 電動キックボードの小さなタイヤ、安定しない立ち乗り姿勢、イヤホンでふさがる聴覚、スマホを見つめる視線・・・。そして、半袖や短パンなどでむき出しの肌。時速20キロどころかそれ以上はでていそうなスピード。

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 筆者の目には、すぐにも起こりそうな危険を乗せて走る暴力装置か自滅装置にしか見えません。

 道路交通法を変えてまで、なぜこのような乗りものを許可したのか。しかも免許も要らずに運転させるなど。まぁ、今更言っても仕方のないことですが・・・。

 このコラムのタイトル「なぜ電動キックボードの違反が減らないのか」の答えは明白です。交通ルールを全く知らない人間が運転すれば、道路を縦横無尽に走り回るのは当たり前。

 自転車や電動自転車はヘルメット着用を努力義務にしているのに、はるかに「危険な電動キックボードはヘルメット着用は不要」というのは、おかしいと筆者は考えます。

 いますぐ「電動キックボードは免許制・ヘルメット着用義務」に変えるべきです。(水田享介)

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