「できる!」ビジネスマンの雑学
2017年04月24日
[384]IBMの「ワトソン」くん、一兆円を稼ぎだす

 当コラムでは注目しているテーマがいくつかあります。その中の「IT」カテゴリーでいえば、「ロボット」「AI(エーアイ:人工知能)」です。

 ロボット部門は、アトムに育てられた技術者のがんばりで、日本は世界の最先端をひた走ってきました。近年は他国の追い上げが激しく、その差はじょじょにせばまりつつありますが、世界に先駆けてロボットが社会に浸透するのは、日本である事に疑いの余地はありません。

 AI部門はどうでしょう。筆者は国産AIが囲碁や将棋などで成果を上げていることは知っていましたが、そのような地道な研究を吹き飛ばす衝撃的ニュースを目にしました。

IBMのAI「ワトソン」、年1兆円稼ぐ 初期市場で先行
 【ニューヨーク=稲井創一】米IBMの人工知能(AI)型コンピューター「ワトソン」を使ったサービスやソフトウエアの関連売上高が日本円換算で年1兆円に達したもようだ。技術開発で先行し、顧客の業務改善を促すコンサルティングのツールとして使うことでAIビジネスの初期市場で圧倒的な存在感を放つ。ただ競合の追い上げは激しい。先行者利益をどこまで保てるのか。
日本経済新聞・電子版 2017年4月16日掲出)

 つい先日のコラムで、AIを動かす環境を自前で用意すると数十億円、レンタルでも初期費用は数千万円とご紹介したばかりです。

[377]AI記者出現、新聞記者やライターの未来やいかに
(当コラム 2017年04月07日掲出)
http://www.asuka-g.co.jp/column/1704/008448.html

 定型文の多いニュース作成でAIが活用されはしても、一般企業が本格的にAIを導入するのはもっと先になる、という筆者の見積もりは大きく間違っていました。

 そのコストに見合う働きが「ワトソン」くんにあったことを、一兆円という売り上げで早くも証明したのです。

2017042401.jpg

 このニュースからはAIが企業の経営判断や営業戦略などで、実用段階に入った事が明白となりました。そこには何年も前から始めていたIBMの地道な戦略が功を奏したようです。

 その戦略とは、経営資源と人材の一極集中です。

レノボ、IBMのPCサーバー事業買収 2400億円で
 【北京=阿部哲也】中国パソコン大手、レノボ・グループ(聯想集団)は23日、米IBMからパソコンをベースにした安価な「PCサーバー」事業を買収すると発表した。買収額は23億ドル(約2400億円)で、今回の買収を機に企業向けサーバー事業に本格進出。パソコンや携帯電話など個人向けが主体だった事業構造の転換を進める。IBMは好採算のクラウド事業などに注力し、ハードウエア事業は高性能機に絞り込む
日本経済新聞・電子版 2014年1月23日掲出)

 これ以上の市場成長を期待できないPC、サーバー事業を他社に売却して、AI部門に企業リソースを注ぎ込んだIBM。その思い切った戦略が、今日の一兆円売り上げにつながったとも言われています。

 世の中はますますダイナミックに変革を遂げています。私たちはその潮流に押し流されずに生きていく事が求められているのです。(水)

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