「できる!」ビジネスマンの雑学
2017年10月16日
[456]日本の交通事故死について考える

 昨年の2016年、日本で発生した交通事故死はおおよそ4,000人でした。

全国の交通事故死、67年ぶり4000人割れ 自転車乗車中は前年から14%減
 平成28年に全国で発生した交通事故死者数は前年より213人(5.2%)少ない3,904人で、昭和24年以来67年ぶりに4,000人を切り、3,000人台となったことが1月4日、警察庁のまとめで分かった。統計を開始した昭和23年以降では3番目の少なさで、最多だった昭和45年の1万6,765人と比べると4分の1以下となった。
Cyclist 2017年01月04日掲出)

 かつて1万7,000人近く(1970年)の方が亡くなっていたことに比べれば、昨年は4分の1以下ですから格段に少なくなったのかもしれません。
 ただ亡くなった方の家族や友人にとって、かけがえのない人が健康なうちに、時には何の落ち度もなく命を絶たれるのは、到底受け入れられるものではありません。

2017101601.jpg

 ところで、2016年交通事故死者数の3,904人の内訳に、気になる数字があります。

 平成28年11月末までの死亡事故を形態別にみると、自動車乗車中1,208人(前年同期比20人増)▽自動二輪車乗車中422人(同11人増)▽原付乗車中212人(同11人増)▽自転車乗車中448人(同73人減)▽歩行中1,183人(同158人減)などで、自動車乗車中と歩行者が多数を占めた。
(引用元:同上)

 歩行者と自転車運転中の死者が合計で、1,631人という数字。交通事故死全体の41.7%を占めています。
 考えても見てください。歩行中や自転車走行中の人が、転んだだけで突然死することはありえません。やはり自動車との衝突でなくなったと考えるのが妥当でしょう。

 「歩行者や自転車は交通弱者」と言われているにもかかわらず、実に4割を超える方が、昨年発生した交通事故の犠牲者なのです。

 交通系の事故に旅客機の事故があります。航空機事故はひとたび起きると、マスコミの注目度も高いためいつまでも人々の記憶に残り、航空機の安全性に疑問を投げかけられます。

 これが自動車事故になるとどうでしょう。事故件数が数え切れないくらい多いことと、一件当たりの死者が少ないためか、トップニュースに取り上げられることはありません。
 しかし、自動車の年間死者数は航空機事故とは比較にならないほど多いのが現実です。

 たとえ方に誤解を恐れず言ってしまうと、交通事故死がピークだった1970年は、
400人乗りの航空機が一年間に40機以上も墜落

したようなものです。

 今でも毎年10機程度が墜落している計算となります。しかも、この異常な状態は70年近く続いているのです。

 自動車は大切な「生活の足」ですが、使い方を誤ると人の命を奪う危険な乗り物でもあります。

 これだけの犠牲を払っていても、自動車を自由に駆って行きたい所に何時でもいけることは大切なのでしょうか。

 交通事故死が移動の自由や生活の足を守るための「社会的コスト」とみなされるのであれば、とても悲しいことです。

 筆者が自動運転車の登場を心待ちにしている理由はここにあります。さきほどあげた昨年の死者数 1,631人は、日本の交通網が自動運転車に入れ替われば、おそらく限りなくゼロに近づくことでしょう。

 さらに、運転技量不足や交通ルールを守れないドライバーが一掃されれば、自動車乗車中の死者も減ります。おそらく交通事故での死者はいずれいなくなるかも、という予測もあながち嘘とはいえません。

自動運転車 30年代に「死亡事故ゼロ」...経産省目標
 経済産業省は13日、自動運転車の実用化により、運転手を原因とする交通事故死亡者を2030年代に「限りなくゼロ」にするとの目標を打ち出した。政府の成長戦略の具体策を議論する産業構造審議会(経産相の諮問機関)の新産業構造部会で示した。
毎日新聞 2016年9月13日掲出)

 その日が来ることを祈りつつ、交通事故にあわないよう気をつけて生活したいものですね。(水)

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■関連リンク
自動車が存在しない世界の町10選
HUFFPOST 2014年03月04日)


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