「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年09月10日
[589]ネット広告の危機か。蔓延するアドフラウド

 インターネットで探し物をしたり、ニュースや情報を閲覧するときに、必ず目に入ってくるのがネット広告ですね。

 無料で便利な機能を使っているのだから、少しは仕方がないと思っておつきあいする人も多いと思いますが、いまネット広告の世界では危機的な状況に陥りつつあるようです。

アダルトサイトのその裏で~ネット広告不正の実態~
 インターネットのアダルトサイトを訪れた人を、ほとんど見られることのない無関係のサイトに勝手に飛ばす仕掛けを使って、ネットの広告費を不正に横取りしようという手口が広がっていることが、NHKの取材でわかりました。ターゲットとなった広告は、大手企業や中央省庁、地方自治体のものなど、少なくとも200に上り、広告代理店やネット広告の配信事業者が調査を進めています。
NHK NEWS WEB/NEWSup・ネットワーク報道部記者 田辺幹夫 科学文化部記者 斉藤直哉 2018年9月4日掲出)

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 長らく広告業界にいた筆者は、この番組を視聴したときは「アダルトサイトの中での金銭トラブル」程度にしか受け止めていませんでした。

 ところが日を改めて、上記のサイトで読み直して、これは大変な事態になったと認識を改めました。

 表題になった「アドフラウド」とは「Ad Fraud」=広告詐欺 に他なりません。広告業の中に詐欺が横行し始めているようなのです。

 もともとネット広告はいつ、どんな端末でどれだけの人が接触したのか、その履歴が数字で記録できることを謳って伸び続けてきました。ネット広告はYahoo!やGoogleといった新しい広告業態を産むこととなり、広告業界に革命を引き起こしました。
 従来のテレビや新聞は大量に広告を打つだけのマス広告が主流で、広告効果の測定は難しく、代理店もあまりそこには触れたくなかったのです。

 ネット広告業界は技術革新を怠らず、年齢層、職種、収入まで把握した消費者が購入に至るまでのステップ、商品への評価までを知ることができるようになり、現在では広告主にとってもマーケティング的にはこの上ない広告媒体となっています。

 しかしながら、ネットの世界はプログラムという仮想世界でもあるので、ネット広告を見たというカウンターを上げる方法は、実はいくらでもあるのです。

 その方法のひとつがアダルトサイトにリンクさせた広告まとめサイトの存在。だれも広告サイトを見ていないのにアダルトサイトにアクセスすると同時に広告を見たとカウントされ、その数字を根拠に広告代理店は広告媒体費をスポンサーに請求していたのです。

 現在のところ、有効な対策はないとのこと。しかし広告費を払ったスポンサーには東京都や地方自治体もあったわけですから、公金が不正に使われていることになります。

 広告へのアクセス数を上げる手法にはボット(プログラムの一種)も使われています。ボットは時間も場所も労力も関係なく働き続けますから、いくらでもアクセス数を上げることは可能です。

 不正なアドフラウドの割合は、9.1%(ネット広告調査会社「モメンタム」調べ)と言っていますが、なんでもありのネット広告の世界ですから、この数字を信用して良いものか、疑問の多い所です。

 ネット通販で購入の決め手となる「クチコミ」や「レビュー」も、本当の消費者の書き込みは少なく、偽造が多いと言われています。

 便利なネット社会ではありますが、本当のことを本気で探そうとするとあんがい、見つからないのかもしれませんね。ネットで探している限りは。(水田享介)


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