「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年10月31日
[608]祭りの楽しさが失われた、渋谷の「ハロウィーン」

 古い考え方や習慣を否定し、自由でありたいという若者の情熱は、社会を活気づける原動力です。その気持ちはいつまでも持ち続けてほしいのですが・・・。

 その精神からほど遠い行動が、渋谷のハロウィーン祭りで起きてしまいました。これは祭りでしょうか。いいえ、他人を傷つけて喜ぶ暴力イベントになってしまいました。

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渋谷 ハロウィーンでトラブル相次ぐ
軽トラ横転 痴漢 盗撮
 今月31日のハロウィーンを前に、27日夜から28日未明にかけて、東京 渋谷の繁華街は仮装した若者や外国人などが大勢集まり激しい混雑になりました。
 トラブルも相次ぎ、警視庁によりますと、28日午前1時ごろには軽トラックが集まった人たちに取り囲まれて横転させられたということです。けが人はいませんでしたが、軽トラックの運転手から被害届けが出されたということで警視庁が器物損壊の疑いで捜査しています。
 このほか、渋谷の繁華街ではあちこちでいさかいごとが起きたほか、盗撮や痴漢の疑いで逮捕者も出たということです。
NHK NEWS WEB 2018年10月28日掲出)

 この暴動を予測したのか、先週の23日には渋谷区長からこんなメッセージが呼びかけられていました。

ハロウィーン「夜通し騒ぐの控えて」東京・渋谷区長が呼びかけ
 31日のハロウィーンで多くの若者らが集まる東京都渋谷区は23日、路上で夜通し騒ぐのを控えたり、瓶入りの酒類の販売を自粛したりするよう呼びかけた。
(中略)
 23日の記者会見で長谷部健区長は「ハロウィーンの様相がだんだん変わってきた。人が集まりすぎて危なくなっている」と指摘。「節度を持ってマナーを守って遊んでほしい」と呼びかけた。
日本経済新聞 2018年10月23日掲出)

 古いしきたりに染まらず、誰もが参加できる新しい祭りとして期待された日本のハロウィーン。この10年近く、さまざまなイベント、ビジネスモデル、商業キャンペーンにも恵まれ、日本中で広まり定着しつつあります。

 今では一千億円以上のビッグビジネスに育ちました。その一方で、ハロウィーンは残念なことに街の無法化や犯罪の温床となりつつあります。

 路上のコスプレ大会とゴミの山、夜明けまで続く路上飲酒と騒音、盗撮・痴漢・破壊行為・暴力の無法地帯の発生・・・。こうした行為が許されるのがハロウィーンの祭りなのでしょうか。

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 若者はたまには羽目を外すときもある。その言葉が犯罪を容認する社会になって良いのでしょうか。

 たとえ違法でも誰かがやるなら自分もという集団心理、同じ格好で安心する同調人間、自己快楽のみ追求する幼児的人間。こうした風潮が若者の間に蔓延し始めているようです。

 なぜそうなったのか。その原因のひとつにSNSの流行を上げる記事があります。

巻き込まないで!「うんざりハロウィン」の正体
 そもそもハロウィンとSNSには密接な関係があります。SNSがなければ、ハロウィンはこれほどの騒ぎにならなかったと言っても過言ではありません。
 日本のハロウィンの起源は、1983年にキデイランド原宿店が開催したハロウィン・パレードという説が有力です。90年代になると、JR川崎駅前で開かれる「カワサキ・ハロウィン・パレード」や東京ディズニーランドのパレードが始まり、仮装イベントとして認識されます。
ヨミウリ・オンライン・生活/PRプロデューサー 殿村美樹 2018年10月24日掲出)

 類似性だけで「いいね」が集まるSNSや他人の日常を見て同一化していくインスタグラムなどは、同じ行動を取ることで安心する若者には心地よいものでしょう。
 しかし、伝統や習慣に縛られたくないという溌剌とした若者からはほど遠い存在でしかなく、同調圧力、同調行動を取りたがる人間になってくいだけです。

 SNSに縛られて画一した行動をとるのなら、富国強兵を唱えた昭和以前、さらには幕府が身分制度で民衆を縛り付けた江戸時代にもまさる、監視社会に望んで入っていくようなものでしょう。

 「最新のIT機器を使いこなす老いた若者」が、今のハロウィーン祭りの正体かもしれません。

 「いいね」を押して同調するだけではなく、自分で考えて行動する若者に戻ろう。そう叫ぶ、筆者です。(水田享介)

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