「できる!」ビジネスマンの雑学
2019年01月21日
[637]高値に舞い上がったタコを見上げて

 タコは料理好きな人には魅力的な食材です。新鮮なうちはそのまま刺身で。さっと茹でてもいい刺身になります。また出汁かしょうゆと一緒にごはんに炊き込めば、おかず内蔵のタコ飯のできあがり。

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 いえいえ、やっぱり粉ものの王様、たこ焼きが一番でしょうか。

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 万能選手のタコですが、最近の値上がりはいちじるしく、気軽に買える食材とは言えなくなりました。
 筆者はかつて、関西出張ともなると、明石の「魚の棚(うおんたな)」に立ち寄り、本場の活タコを手に入れたものです。東京のスーパーでも手軽に買える庶民の味方。それがタコでした。

 今となっては、それも遠い昔の話。近頃のスーパーでは国産のタコを見ることはありません。日本企業の努力の結果、モーリタニア産タコが出回るようになりましたが、それすらも高くなってきました。

 良質なタコを求めて、「砂漠の国」モーリタニアへ
 (東冷'S WORK)

 そういえば、鯛やハマチ、ヒラメなどは養殖物が出回っていますが、タコだけは養殖物を聞いたことがありません。タコの養殖はどうなっているのでしょうか。

激減のタコ 不可能だった養殖を実現へ
タコの養殖は極めて難しく、国内の数多くの水産研究機関が昭和30年代から試行錯誤を繰り返してきましたが、安定した養殖技術を確立できなかったと言います。
それが、これまで「不可能」とも言われてきたタコの養殖を、大きく前進させることに成功したというのです。
施設に並べられた水槽の中をのぞいてみると、1円玉くらいの大きさに育った、かわいい稚ダコがたくさん泳ぎ回っていました。

「ここまで育てるのに、50年かかりましたよ」

NHK NEWS WEB/広島放送局記者 寺西源太 2019年1月17日掲出)

 半世紀もかかってようやく本格養殖の入り口にさしかかったとは初耳でした。詳細な研究報告が「瀬戸内通信」という広報誌に掲載されています。

「瀬戸内通信 No.28」(瀬戸内海区水産研究所 発行)
http://feis.fra.affrc.go.jp/publi/setotsuu/setotsuu28.pdf

 飼育環境もエサも、これまでの養殖技術の常識がタコの赤ちゃんには通用しなかったのです。先入観を捨ててひたすら観察し、タコの習性を知ることで突破口を切り開いたことがわかります。

 ところでタコの好物をご存じでしょうか。

 なんとも贅沢なことに、伊勢エビ、カニ、アワビ、ウニ。タコと友達になっても、寿司屋にだけは一緒に行きたくありません。

 生きたタコを伊勢エビに見せると、安全な岩陰にいる伊勢エビさえもあわてて飛び出すそうです。この習性を利用した漁法があるほど、タコは伊勢エビの天敵であるのです。

田曽浦のタコ伏せ漁( 南伊勢町田曽浦 )

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 そんな高級食材ばかりを食べるタコをどうやって養殖で育てるのでしょうか。広報誌にはそれについての言及はまだありません。
 消費者のわたしたちは、国内産の養殖タコが適正価格で出回る日を楽しみに待つことにしましょう。

 魚ん棚ではいまも日常風景という、魚屋のザルから脱走する元気な活タコを、もう一度見てみたいものです。(水田享介)

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■関連リンク
国立研究開発法人 水産研究・教育機構「瀬戸内海区水産研究所」

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