「できる!」ビジネスマンの雑学
2022年12月16日
[756]「コロナ後遺症」メカニズム解明へ、回復に役立つ療法について

 先日のコラムでコロナ後遺症によく現れる「ブレインフォグ」を紹介しました。

[747]新型コロナ後遺症「ブレインフォグ」。治療法なく長引く症状
(2022年11月14日)

 脳の中で何が起きているのか、いまだ謎に包まれている後遺症。そのメカニズムの一端が科学雑誌で紹介されました。

コロナ後遺症の4割が苦しむ「脳の霧」、脳内伝達の破壊が一因か
 スウェーデンのカロリンスカ研究所の科学者たちが、脳オルガノイド(実験室で培養した小型の脳組織)に新型コロナウイルスを感染させたところ、神経細胞(ニューロン)間の結合部である「シナプス」の破壊が促進されることが分かった。
ナショナル ジオグラフィック 2022年12月7日)

 ES細胞やiPS細胞から作成した人工脳(脳オルガノイド)をコロナに感染させて観察すると、情報伝達を担うシナプスが異常に刈り取られる現象が見つかったそうです。その結果、脳内で情報が伝わらなくなり、失語症や物忘れの症状が発生すると考えられています。

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 それだけにとどまらず、後遺症から死に至った人数もアメリカで明らかとなっています。
 コロナ後遺症を関連とする死亡者数が3500人に達したと、2022年12月14日、アメリカCDCが公表しました。

アメリカCDC コロナ後遺症関連の死亡「3500人余」報告書公表
アメリカのCDC=疾病対策センターは、新型コロナウイルスに感染したあと症状が長く続く、いわゆる「後遺症」に関連して、国内を中心に3500人余りが死亡したとする報告書をまとめました。
NHK NEWS WEB 2022年12月15日)

 日本のお隣、中国本土ではコロナ対策の緩和が始まった途端、大規模な感染が発生しています。中国社会では感染させない徹底したゼロコロナ政策により抗体のない人がほとんどのため、感染力の強い変異ウイルスが入り込んでしまった今は、遠からず感染爆発が起こるのではと危惧されています。

中国、ゼロコロナ緩和で経済混乱 感染急増で人手不足に
流行地域での全市民の検査も取りやめ、「ゼロコロナ」政策の国内管理を事実上終了した。緩和策が実行に移る一方、主要都市では感染者数が増加している。人手不足で店舗や工場の稼働が滞り、経済の混乱が広がっている。
日本経済新聞 2022年12月14日)

 この状況において、「まだマスクをしている日本」、「マスクを強制する日本社会」、「同調圧力」などと声を上げるマスコミは、どう考えているのでしょうか。インフルエンザなどの流行する冬を迎え、ニューヨーク市やロサンゼルス郡ではマスク着用の呼びかけを始めており、いずれ着用義務も復活させるとみられています。

外していいよと言っても、外さない小学生。日本人はマスクをずっと着け続けるのか
ニューズウィーク日本版 2022年12月15日)

 ところで、後遺症のメカニズムがわかったとしても、すぐに的確な治療が見つかるわけではありません。コロナワクチンのように、いずれは何らかの治療方法や治療薬があらわれることを期待して止みません。
 では、今の段階でこうした後遺症を改善することはできるのでしょうか。国内の専門医がコロナに感染したあと、回復期の過ごし方についてアドバイスをしています。

増加する「コロナ後遺症」で症状残る人は85%の報告も...
専門医が指摘する"感染から2か月"に絶対にやってはいけないこと
日本での感染者数は、12月4日時点で約2522万人(※厚労省HPより)。その約10%に当たる250万人が「コロナ後遺症」の可能性...。寛解ができたら最高ですが、寛解を目指すというよりは、症状を軽減させて、生活が成り立つようにしましょう...。
FNNプライムオンライン/イット! 2022年12月6日)

 コロナ感染から回復してもその後2ヶ月間は無理に運動しようとしてはいけない。お酒や喫煙は控えるか止めましょう、とのこと。フランスでは完全治癒を意味する寛解になった人はわずか15%。治りにくい感染症ということがわかります。

 誰がいつなんどき、感染するかわからない新型コロナウイルス。感染した人を責めたり恐れたりせず、確実に回復するよう、いたわりの心で接していきたいですね。(水田享介)

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