「できる!」ビジネスマンの雑学
2024年11月25日
[934]選挙とSNS

 2024年11月は、日本で「選挙とSNS」の関係を初めて問いただされた期間として記憶に残るに違いありません。

 ひとつは兵庫県知事選。斉藤兵庫県知事のパワハラ疑惑から始まり、出直し選挙、再選と目まぐるしい動きの中で、再選の原動力となったのがSNSの活用でした。その立案・実行したのがPR会社であったことが判明して、大いに紛糾しています。マスコミでは独断専行の知事という報道で占められていましたが、選挙期間中のSNS情報戦でそのマイナスイメージを払拭し、若い世代のために既得権益と戦う知事として再生、再選を果たしました。

テレビ・新聞よりもSNS?兵庫県知事選挙で何が?
17日に投開票が行われた兵庫県知事選挙。NHKの出口調査で投票する際に何を最も参考にしたか聞いたところ、「SNSや動画サイト」が「新聞」と「テレビ」を上回りました。
(NHK NEWSWEB 2024年11月23日

 そのすぐ後に行われた名古屋市長選挙でも、当選者はSNSの積極利用が当たったとのニュースを目にしました。

広沢一郎氏、"反河村たかし氏包囲網"もSNS駆使 支持広げ
毎日新聞 2024年11月24日

 選挙戦でSNSを使うということは、候補者の政治信条を発信するだけではなかったようです。

 その中には、選挙演説のライブ配信、候補者の日常を紹介して親しみやすさをことさらアピールするイメージ戦略などがありました。

 それだけではありません。一部の噂では対立候補へのマイナスイメージ、誹謗中傷の拡散にも使われたとも言われています。
 また、兵庫県知事選では対立候補のアカウントが凍結されたりもしています。こうした行為が事実なのか、また事実だったとしても選挙違反にあたるかは今後の調査待つほかありません。しかしもう選挙は終わり、当選者は決まっています。

 従来型の選挙であれば、これまでの法律で取締りできていたはずが、SNSなどのネットに特化した選挙活動は規制の網だけでは対処できず、この状況が当たり前になると全候補者にとって公平な選挙活動はもう期待できません。

 住民としては候補者の行政能力や政治手腕の優劣を判断して投票したいはずなのに、SNSの活用技術と相手を出し抜く知識がある陣営が勝ち残る・・・「ネット社会の勝者すなわち当選者」という、選挙とはかけ離れた争いを見せつけられた気がします。

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 先日、筆者はとある駅で二人の方と待ち合わせしました。電車の事故遅延もあり、おふたりとも5~10分ほど遅れました。ところが会った時に言われたのが
「SNSで遅れること、伝わってるよね」
 ふたりともSNSで私宛てに遅れることを連絡済だというのです。

 筆者はSNSアプリはスマホには入れていないので、外出先で閲覧することはできません。しかも、その日はスマホすら家に置き忘れていました。

 SNSもスマホも活用できていない(と思われている)筆者が、選挙とSNSを語る資格があるのかと言われそうです。

 現実の制度や法律が新しいメディアに対応できていない、追いついていないとよく言われます。巨大企業やGAFAのような台頭もこうした法の不備をついた成り上がり現象とも言われています。

 ではいつになればそれが是正されるのでしょうか。小さな存在に過ぎない筆者にはとうてい思いの及ばない話となりました。(水田享介)

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