オーストラリアの議会上院で昨日(2024年11月28日)、16歳未満の子どもはSNSの利用を禁止する法案が可決されたそうです。
SNSとは、Facebook、X(エックス)、インスタ(インスタグラム)、TikTok、スナップチャットなどが該当し、日本でも小学生から中高生まで人気のSNSはすべて入っていますから、このニュースは世界中で話題となっています。
オーストラリア議会上院 16歳未満の子どもSNS禁止法案可決
オーストラリアの議会上院で、16歳未満の子どもがインスタグラムなどのSNSを利用することを禁止する法案が可決されました。オーストラリア政府は「世界的にみても先進的だ」・・・。
(NHK NEWSWEB 2024年11月29日)
ところがこの法案、子ども達がSNSを使うことを禁止していますが、もし使ったとしても罰則はないのです。保護者も罪に問われません。
では何の目的でこの法案があるのか。実は、SNSを提供するIT企業への規制が目的です。
16歳以下の未成年がSNSを使えないよう技術的に対策をしなさい、それを怠ると最大4950万オーストラリアドル(49億円)の罰金が科されますとなっています。
現在は「あなたは○○歳以上ですか?」という質問にイエスと答えるだけの年齢チェック(日本の場合)ですが、こうしたゆるい対策はもうオーストラリアでは通用しなくなります。
このニュースでは、フランスやアメリカでもSNSの利用規制を設け始めていることを紹介しています。
それだけSNSが未成年に及ぼす弊害が顕在化しているということでしょう。
ITテクノロジーの結晶といえるスマホは、次々と新サービスを提供して、生活を快適にしたり生産効率を高めるなどすぐれたツールです。
ところが、使い方次第では社会に実害をもたらしたり、誰もが富を得ると謳ったサービスが多くの人が不利益を被ることで成り立っていたという詐欺まがいの仕掛けが目立ってきました。
こうした悪意のあるサービスではその企みを隠すためにデジタル技術が使われているケースが増えています。
アプリの提供企業に規制をかけることに反対ではありません。ただ、いまだ抜け道の多い法案にとどまっています。筆者はもっと根本的な規制をスマホ本体にかけてもいいと思います。
たとえば、物理的にSNSを使えなくしたスマホを未成年者に与える、定期的に成人資格チェックが入る機能をスマホにつける、など。
現在の顔認証技術を使えば、スマホ使用者のおおよその年齢は判りますから、16歳以下と判断したらスマホ側からSNSへのアクセスを切るなど、スマホの技術に疎い筆者ですら方法はいくつも思いつきます。
現在のスマホは何でもできてしまうことをウリにしていますが、スマホそのものの性能に規制を加えることで、かなりの問題が解決します。
クルマを運転しながらスマホを使うながらスマホ問題は、ようやく交通違反(2019年から)になりましたが、そもそもスマホは加速感知の機能(加速度センサー)があるので、時速30キロ以上では通信が遮断される設定にするだけで、ながらスマホはなくります。
やめよう!運転中の「ながらスマホ」違反すると一発免停も!
(政府広報オンライン 2024年11月1日)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201707/2.html
すぐれた技術者を抱えるIT企業なら一週間もかけず実現できるのに、なぜこうした提案がメーカーからは出てこず、解決方法を社会にまかせて放置しているのでしょうか。
スマホに使われているセンサー、徹底解説しちゃいます
加速度計そのものも、複数のセンサーで構成されています。微小な結晶構造もそのひとつで、加速がかかるとこの結晶構造に外圧がかかります。加速度計は、結晶から発生する電圧を感知して、スマホが動いている速度や向きを算出・・・。
(GIZMODO 2020年7月12日)
IT企業が持てる技術力を注ぎ込んで繁栄してきたスマホですが、もうそろそろ万能ツールから、目的別ツールに軌道修正が必要ではないでしょうか。(水田享介)