「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年07月02日
[992]もうすぐ実用化。うつ病診断をAI支援

 うつ(鬱)病は誰もがかかる可能性のある「こころの病気」(厚生労働省)といわれています。

 ひと昔前まではうつになった人に「気合いが足りない、精神力が足りない」などの無責任な自己責任論が横行していました。しかし、気合いも精神力も何のことなのか、筆者は一度も聞いたことがありません。
 心ない言葉の暴力が当たり前だった時代、挙げ句の果ては「心の弱い人」と決めつけられて、職場復帰の妨げにもなっていたようです。

 うつ病はかかった人の責任ではなく、環境の変化、ストレス、対人関係などさまざまな要因から引き起こされることが判り始めて、最近ではうつ診断を自由に受けることができるまでになっています。

 ただ、うつ診断は病気の診断過程が医者の経験値や裁量しだいで大きく異なることがあり、その正確性を高めることが課題となっていました。

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 そこに登場したのが、AIの支援をうけた診断方法です。

AIで数値化「精神疾患の診断補助」プログラム医療機器承認 ATR
国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などは、精神疾患の診断を補助するシステムが「プログラム医療機器」として厚生労働省から承認を取得したと発表した。脳の画像情報から人工知能(AI)で活動パターンを分析し数値化する。2026年春にもうつ病に対する診断補助として追加・・・。
日経電子版 2025年7月1日

 AIというと、人間との流ちょうな対話能力や人をうならせる名文や論文の執筆能力がもてはやされてきました。

 しかし、筆者はそうした記事を読んでも、「AIすごいアピール」しか感じられません。アンパンマンではありませんが、「何のために生まれてきて何を表現したいから書くのか」を問いかける言葉は一片もありません。

 つまらないテキストでネット社会が埋め尽くされてしまうことに大きな危機感を持つのは筆者だけではないと思います。

 このAI支援は脳の活動状況を数値化してうつ状態を判断しています。その正確率は約7割の精度とのこと。AIだからといって全問正解、100%正しいといわないシステムなのも好感が持てます。
 医師の補助的役割であればこれで十分ではないでしょうか。

 すでに日本国内で臨床試験も進んでおり、いずれ公的医療保険の適用も視野に入っているそうです。

 「ひとに寄り添うAIこそが人類の役に立つ」ことをはやく証明していただきたいですね。(水田享介)

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【関連サイト】
こころもメンテしよう-うつ病-
(厚生労働省・公式サイト)
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/know/know_01.html

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