「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年08月13日
[1008]映画『雪風 YUKIKAZE』、8月15日(金)より全国公開

 80年目となる「終戦記念日」の2025年8月15日(金)から、映画『雪風 YUKIKAZE』が全国公開されます。

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 「雪風(ゆきかぜ)」と聞いただけで、あの駆逐艦のことかとわかる方は、かなりの軍事通か「艦コレ(艦隊コレクション)」ファンだけかもしれませんが...。

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※大日本帝国海軍駆逐艦「雪風」。1939年12月撮影(パブリックドメイン)

 「雪風」は旧日本海軍が保有していた軍艦(駆逐艦)です。

 旧日本海軍は百数十隻もの駆逐艦を建造し、太平洋戦争に駆り出しましたが、敗戦時に健在だった駆逐艦はこの「雪風」ただ一隻でした。

 ではよほど「雪風」は大事にされていたのかというと、そうではありません。大敗北を喫した「ミッドウェー海戦」、「マリアナ沖海戦」、「レイテ沖海戦」、「大和の沖縄特攻」まで、「雪風」は主要な海戦のほとんどに参加しています。しかも大半は負け戦でした。
 勝ち戦と言えば大戦緒戦の「スラバヤ沖海戦」ぐらいでしょうか。

 名前だけは勇ましく聞こえる「駆逐艦」ですがその任務は、輸送船団の護衛や艦隊の防御(弾よけ)です。それだけにとどまらず、戦闘後の遭難者救助、兵員や物資の輸送まで休みなく働かされる存在でした。

 筆者が読んだ戦記本では駆逐艦の防弾版はとても薄く、米軍機の機銃弾は簡単に貫通するため、船の上で身を守る術はあまりなかったそうです。高速で航行するため防御能力はなきに等しかったのが旧日本海軍の駆逐艦でした。

 ひっきりなしに戦場を走り回っていた駆逐艦ですから、そのほとんどが沈められたのになぜ「雪風」だけが生き残ったのでしょうか。

幸運艦? いいえ"ホワイト職場"だったからです
――不死身の駆逐艦「雪風」 偶然じゃない"筋の通った幸運
陽炎型駆逐艦19隻のうち、艦齢31年という長寿記録を残したのが8番艦「雪風」です。主な海戦に参加しながらも生還し「不死身」といわれましたが、...。
乗りものニュース/月刊PANZER編集部 2025年8月11日


「奇蹟の不沈艦」と生きた傑物艦長・寺内正道
海軍少尉の高橋栄がつづった駆逐艦「雪風」の秘話 
産経新聞/「丸」3月号 2024年2月9日

 記録によると「雪風」艦長は建造から敗戦までの6年間で6人を数えます。指揮官が入れ替わっても上記記事にあるように「雪風」がホワイト職場でありつづけた要因は何だったのでしょうか。
 魚雷、爆雷、20基超の砲・機銃で武装した軍艦に乗員239名。船幅11メートル、全長120メートル弱の船はひとたび出航すれば海の上の閉鎖空間です。全員顔見知りの組織はどう戦い、生き残り得たのでしょうか。

 「雪風」の戦歴を辿ると艦と運命を共にする組織であり、ひとつの生命体のようにも思えてきました。「幸運艦」、「運がよかった」だけでは片付けられない要素があったのかもしれません。

 もうすぐ公開される映画から、その秘密を探すのもいいかもしれませんね。(水田享介)

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【関連サイト】
映画『雪風 YUKIKAZE』オフィシャルサイト
https://www.yukikaze-movie.jp

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