第二次大戦中、旧日本陸軍は地形図「東京西部」原図を作成しました。その地形図を元に印刷された『多摩地形図』(之潮、2004年)では軍事施設など秘匿性の高い地域は軒並み白抜きになっていました。しかし原図ではこれらの施設が克明に描かれています。また、空襲で破壊される前の様子も今では原図にしか残されていません。
「多摩の歴史講座」では地形図「東京西部」の原図に注目して、成立の背景、当時の多摩地域の景観、また原図には描かれていた白抜き部分の解明など、多角的な視点で戦時下の多摩地域を読み解いていきます。
あわせて地域史や鉄道史にまで考察を深めていく講座となっています。
10月15日より毎週水曜日、全5回を開催予定です。
◆講座内容◆
たましん地域文化財団・東京市町村自治調査会共催「多摩の歴史講座」(第28回)
タイトル:戦時下の素顔を地形図から読み解く
日時:10月15日より隔週水曜日、全5回開催。
□第1講 10月15日(水) 午後1 時30分~午後3 時30分
●「戦前に作成された三千分一地形図「東京西部」の全貌─地図を通じた記憶の継承を─」
●講師:石川弘美(国土地理院地理空間情報部情報サービス課指導員)
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□第2講 10月29日(水) 午後1 時30分~午後3 時30分
●「大日本帝国陸地測量部と3000分の1 地形図「東京西部」」
●講師:大木章一(国土交通省国土地理院元院長)
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□第3講 11月12日(水) 午後1 時30分~午後3 時30分
●「昭和期の地図と東京の大縮尺地図」
●講師:芳賀啓(元東京経済大学客員教授)
※講義中に「1953年 東京都3000分の1 地形図」(講師所蔵)を展示します
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□第4講 11月26日(水) 午後1 時30分~午後3 時30分
●「3000分の1 地形図「東京西部」にみる多摩の鉄道」
●講師:今尾恵介((一財)日本地図センター客員研究員)
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□第5講 12月10日(水) 午後1 時30分~午後3 時30分
●「戦災直前の八王子を3000分の1 地形図「東京西部」から読み解く-街並み、織物工場、田町遊廓など-」
●講師:齊藤勉(多摩地域の戦時下資料研究会)
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※「多摩交流センターだより」より引用
□場 所:多摩信用金庫府中支店4 階会議室(京王線府中駅南口2 分)![]()
※「多摩交流センターだより」より引用
□参加費:無料
□定 員:90名
□申込方法
1)ハガキ
2)インターネット
申込リンク
https://forms.gle/yVpuBSCTdPWYWJrYA
□申込締切
令和7年10月3日(金)必着
申込方法の詳細は下記のリンクよりご確認ください。
「多摩の歴史講座」(第28回)
『戦時下の素顔を地形図から読み解く』
東京の西に広がる多摩地域は江戸時代までは豊かな農村地帯でした。しかし日中戦争~第二次大戦を機に、旧日本陸軍により要塞都市化されました。![]()
※戦時中に小平市の農地に陸軍経理学校が移転してきた。戦後は返還されることなく国の施設や団地となる。
陸軍経理学校
(小平市立図書館/こだいらデジタルアーカイブ)
敗戦後は GHQに接収されたり国有地にされたりと変遷を経て今日に至ります。また、所有者に返還のめどの立たない土地もいまだにあります。
なぜ多摩地域が今日の姿になったのか。それを考えるよい機会になるかもしれません。(水田享介)