天候の影響により打上げ日が延期されていた「H3ロケット7号機」ですが、来る2025年10月26日(日)午前9時00分頃に打上げることが決定しました。
H3ロケット7号機 H3-F7 打上げ特設サイト
2025.10.26 LIFT OFF!打上げ予定時刻 午前9時00分頃
JAXAは、H3ロケット7号機によるHTV-X1の打上げの模様をライブ中継します。
HTV-X1のキャプチャ(把持)、国際宇宙ステーションからの離脱についてもライブ中継予定です。
(ファン!ファン!JAXA!2025年10月23日14:00更新)
https://fanfun.jaxa.jp/countdown/htv-x1_h3f7/index.html![]()
※H3ロケット7号機の飛翔イメージ図 (C)JAXA
この「H3ロケット7号機」はいくつもの新しい試みがなされています。
まずロケット形態が日本最大・最強ロケットとなる「24形態」です。第一段メインエンジンのLE-9は2基、固体ロケットブースターのSRB-3を4本装着しています。このエンジン構成により6.5トン以上の打ち上げ能力を実現。
この「24形態」での打上げは今回が初飛行となります。
H3ロケット「24形態」いよいよ初打ち上げへ
日本最大・最強ロケットが拓く新時代
ペンシル・ロケットと比べ全長も直径も約300倍に達する、その名は「H3ロケット24形態」――日本の宇宙開発をさらなる高みに導く可能性を秘めた、70年の夢と技術の集大成だ。
(マイナビTECH+/鳥嶋真也 2025年10月17日)
国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を担ってきたこうのとり(HTV)の後継機として「新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)」が初めて搭載されています。このHTV-X1号機ではより重いものの輸送能力をアップし、冷凍庫や電源が必要な実験装置に対応。
また、従来機(こうのとり)では最終積込みが80時間前であったものを、打上げ24時間前に設定。生鮮食料品や鮮度を求める実験サンプルを搭載可能としました。![]()
※HTV-Xのマーク (C)JAXA
さらに、補給機能だけではなく実験機能も持っています。ISSに物資を補給したあとは実験プラットフォームとして1年半もの間、稼働を継続できます。補給機の枠を越えたHTV-Xは、もはや独立したひとつの宇宙船といえるでしょう。![]()
※地上で組み立て中のHTV-X (C)JAXA
新しくなった補給機でどんな試みがなされているのか。興味が湧いて調べてみるといくつもの実験が予定されています。当コラムでご紹介するのはすべてではありませんが、これまではできなかった実験がいくつも用意されています。![]()
※宇宙に小型衛星を放出するHTV-Xのイメージ図 (C)JAXA
◆実験の例◆
1)酒造会社の株式会社獺祭は「獺祭MOONプロジェクト」として、ISS「きぼう」日本実験棟の月面重力模擬環境下にて世界初となる宇宙空間での清酒の醸造試験を実施します。そのための宇宙用醸造装置と清酒原料をHTV-Xに積み込んでいます。
「獺祭MOONプロジェクト」
https://dassai.com/moon/
2)埼玉県加須市は「加須宇宙米プロジェクト」と銘打ち、加須市の種籾をISSに一時保管したのち、地球に戻してブランド米を生産する予定です。
3)「きぼうの種プロジェクト」ではいくつかの植物の種子をISSの「きぼう」日本実験棟に一定期間滞在した後、地球へ帰還します。帰還後は、地上での育成・開花を目指します。
4)次世代宇宙用太陽電池を開発する出光興産株式会社では、HTV-Xの補給任務終了後、自社開発のCIGS太陽電池を宇宙空間にて実証実験 SDX(Space solar cell Demonstration system on HTV-X)にチャレンジします。
CIGS 宇宙用太陽電池(出光興産・公式サイト内)
https://www.idemitsu.com/jp/company/rd/cigs/index.html
数多くの人と企業の創意を乗せたH3ロケット、そしてHTV-X。いよいよ、今度の日曜日に出発です。(水田享介)