もはや日本中が災害級に陥ったといえるクマ被害。
クマの出没情報を提供している秋田県の「ツキノワグマ等情報マップシステム【クマダス】」は、直近の3ヶ月だけでもクマ情報は6500件以上。クマップの地図は秋田県全体が真っ赤になっています。![]()
※「クマダス」より秋田県部分
【クマダス】- トップページ
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※「クマダス」トップページ
驚くことに、本日(2025年10月29日)午前中だけでも住宅地でのクマ目撃情報が4件も寄せられています。
秋田県知事は昨日、防衛省にクマ対策としての自衛隊派遣を求めました。
クマ被害相次ぐ秋田県知事、自衛隊派遣を要請...
小泉防衛相「危機的な事態」と陸自連絡員を派遣へ
(読売新聞オンライン 2025年10月28日)
銃さえあればクマは駆除できると思う方も多いと思いますが、現実は全く違います。警官が持つ拳銃程度では、クマに致命傷は与えられません。毛皮の下の皮下脂肪はとても分厚く、弾が通らないそうです。それはイノシシでも同様で、クマ、イノシシは専用の弾丸を装填したライフル銃が必要です。
こうした狩猟知識は『山賊ダイアリー』(岡本健太郎)、『クマ撃ちの女』(安島薮太)などの漫画で紹介しています。また『ヒグマグマ』(奥谷通教)、『惨劇山脈~ヒグマ襲撃~』(佐伊村司)ではヒグマの凶暴性がリアルに描かれており、一読の価値があります。
SNSでは知識もない人の楽観的な書き込みや無責任な個人攻撃が目立ちますが、上記の漫画を読むだけでもずいぶんと改善されるのではと筆者は思いますが、いかがでしょう。
クマ関連のニュースで気になる記事を見つけました。
山で聞こえる「おーい」の声は人じゃない、
すぐ逃げろ...は本当?ツキノワグマの飼育担当者に聞いた
山にいる時、「おーい、おーい」という男性の呼ぶ声が聞こたら、それはツキノワグマの声だから急いで逃げろ!という都市伝説がある。
(まいどなニュース 2025年4月23日)
※イメージ画像
クマは人の声に似せて声を出しているわけではありません。しかし、声の調子などが似ていると、人間の脳が勝手に補正をかけて、「オーイ」と呼び声に変換。人の意識の部分で「空耳」が発生するようです。
実は筆者も東南アジアのジャングルで同様の体験をしました。
この時は声の主はクマではありません。
さて、声の主は何だったでしょうか。
ガイド役のレンジャー隊員の後について、ジャングルを歩いていた時のこと。隊員が突然、音を立てずに静かに、でも急いでここを立ち去ろうと言い出しました。必死に走った後・・・彼が言うには
「近くでモーウモーウと牛の鳴く声がした」
何も知らなければジャングルの先に牧場があるのかな、と思ったでしょう。しかし、ここは人工物はひとつもない手つかずの国立公園の中。近くに牧場などあるはずがない。「モーウモーウ」は牛ではなく、野生の成獣のトラだ!と直感したとのこと。
茂みに隠れていたトラに知らずに近づいたか、トラの通路を横切って怒らせたのかもしれないねとの説明でした。もし、熱帯のジャングルの中をガイドも付けずにトレッキングしていたら、筆者は日本の書斎でこのコラムを書いてはいないでしょう。![]()
※筆者のXにて2021年の書き込み
こんにちは。私も同じ体験しました。タイの国立公園のジャングルをトレッキング中、レンジャーガイドが突然、走れというので必死に走った。ガイドが言うに、近くでモーウモーウと牛の声がした。ここはジャングル。牛ではなく虎の威嚇と直感したそうです。姿を見るまではと疑う人は生きてないよ、と。
-- 水田享介 (@joseAkame) July 26, 2021
※実際のXのリンク先
日本の山も熱帯のジャングルに劣らず、まだまだ私たちの知らないことがいっぱいありそうです。
いえ、もしかしてそれは、現代の日本人が忘れてしまっていることかもしれませんね。(水田享介)