「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年12月03日
[1052]必見「3か月でマスターする古代文明」(Eテレ)

 40代以上の方ならご承知のことと思いますが、中学・高校で使う歴史教科書は以前とは大きく異なっています。
 日本史ではいくつもの訂正が行われ、昭和世代の(筆者を含む)旧世代人は「日本史の常識が壊された。もうついていけない」状態と言えるでしょう。

 たとえば旧壱万円札を飾った厳かな聖徳太子、「騎馬武者像」に描かれた勇壮な足利尊氏、武田信玄に追い詰めら憔悴した徳川家康・・・などなど。いずれの肖像画も当人でなかったり、後世の創作だったことが明らかになり教科書から姿を消しています。

 また、古くは「仁徳天皇陵」、日本初の貨幣「和同開珎」、江戸時代の「士農工商」「鎖国」といった受験対策で覚えた重要ワードも、いつの間にかフェードアウトしています。

 日本史に口出しできなくなったおじさんおばさん達にさらに衝撃が走りました。世界史も続々とリセットされ始めたのです。

 この事実を明らかにする番組「3か月でマスターする古代文明」が現在、NHK Eテレで放送中です。

「3か月でマスターする」シリーズ最新作は古代文明!驚きの新事実が次々と明らかに
Eテレ 公開:2025年9月29日(月)
https://www.nhk.jp/g/ts/3JYG9W8MQ5/blog/bl/pWLJ5nBLJb/bp/pnJKMr69Kk/

3か月でマスターする古代文明
【放送予定】10月1日(水)放送スタート!
毎週(水) [Eテレ] 午後9:30
〈再放送〉翌週(水) [Eテレ] 午後0:15
〈再放送〉翌週(火) [総合] 午前1:20 ※月曜深夜

 この番組が衝撃的だったのは第1回放送の「衝撃!最古の巨大遺跡 見直される"文明の始まり"」でした。
 この中でナビゲーター役の関雄二館長(国立民族学博物館館長)は
「四大文明」は日本国内だけ通用していたローカルワードでした。日本の学校ではこれを定説として世界史で教えていましたが、そう教えていたのは日本だけ。』との発言。

 世界史の最初のページはいつも四大文明でした。4~5千年前に始まった四大文明は人類史のスター扱い。しかし世界中のどこにも四大文明というくくりはなかったのです。

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※イメージ

 トルコではこれを遡ること6千年、今から一万数千年前に巨大な神殿を擁する文明(ギョベクリテペ遺跡)が存在していたのです。紛争が起こると口を出してくるトルコ。EUも一目置く存在のトルコは、ヨーロッパよりも遙かに長い歴史がバックグラウンドにあったのです。
 さらに、鉄の発明はヒッタイトというのも眉唾もので、こちらも数千年古いアナトリア半島の地層から溶鉱炉跡が見つかっています。

人類最古の遺跡でまたもや大発見
人類史の定説を覆してきたギョベクリテペとは
Forbes JAPAN 2023年10月20日

 世界史の最初のページはアナトリア半島のトルコから始めてもおかしくはないでしょう。(※あくまでも筆者の意見です)

 このように目から鱗が落ちるような話が次々と出てくるのがこのシリーズの面白さ。

■放送ラインナップ
10月1日放送 第1回「衝撃!最古の巨大遺跡 見直される"文明の始まり"」
10月8日放送 第2回「メソポタミア 都市は"最終手段"だった?」
10月15日放送 第3回「ヒッタイト "鉄の帝国"のヒミツ」
10月22日放送 第4回「エジプト ピラミッドと黄金が王国を変えた」
10月29日放送 第5回「インダス 王も武器もない文明」
11月5日放送 第6回「中国 "交雑"が生んだ王朝」
11月12日放送 第7回「原シルクロードと中央アジア 交流と繁栄」
11月19日放送 第8回「ギリシャとミケーネ ネットワークが育んだ"民主政"」
11月26日放送 第9回「オセアニア 巨大化する石像の謎」
12月3日放送 第10回「マヤ 多様性を王国の力に」
12月10日放送 第11回「アンデス1 ナスカ・地上絵 文字なき世界の道しるべ」
12月17日放送 第12回「アンデス2 初めに神殿ありき」
※タイトルは変更になる場合もあります
(※番組情報は公式サイトより引用しています)

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※イメージ

 今夜、12月3日放送は、第10回「マヤ 多様性を王国の力に」です。今回からマヤ文明、アンデス文明が3回にわたり放送されます。関雄二館長の専攻がアンデス考古学、ラテンアメリカ研究だからでしょうか。

 現在、東京・六本木で開催中の「CREVIA マチュピチュ展」(森アーツセンターギャラリー)と併せて視聴すると、アンデス文明をいっそう深く知ることができます。

「CREVIA マチュピチュ展」(森アーツセンターギャラリー)
公式サイト: machupicchuneon.jp

 筆者にとっての新たな学びは、歴史上の国家には権力者や王が君臨していたという定説は、必ずしもそうではなかったという新説です。

 インダス文明、ミケーネ文明、トロイ文明のいずれにも首都に相当する遺跡には、王の居住地区も軍隊も富の集積跡も見当たらなかったとのこと。

 国家には支配者がいて統治するものというのは、近代以降の歴史学者が持っていた思い込みだと紹介しています。

 人類はもっと多様な社会構造を経験して現代に続いて来たという話には、強い説得力がありました。

国家が数千年前に初めて出現した本当の理由
国家という組織が生まれたことで、労働力や土地の管理、大規模なプロジェクトが可能になり、分散した農地をまとめて農作業の効率を高める「農業の集約化」が進んだ・・・。
Gigazine 2025年11月30日

 国家とは、領土とは何でしょうか。紛争や戦争がいまも続く現代社会に生きる私たちは、国家成立の始まりを学ぶことはとても意義のあることと思います。(水田享介)

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