先週の11月27日、世間がブラックフライデーで賑わうさなか、Xに風変わりな投稿を見つけました。
「・・・日本のメディアからは華麗にスルーされたので今日はふて寝します」(戸谷友則 (TOTANI, Tomonori @tomonoritotani)
東京大学で宇宙物理学を研究されている戸谷友則教授のこのつぶやき、筆者が見たのは投稿された翌日でした。
11月27日深夜でも、この話題を取り上げた国内メディアはありませんでした。筆者はすぐに自分宛にこの投稿を送り、関心を持ち続けました。
世界中の研究者が、研究機関が、国家が第一発見者を目指して途方もない研究費と人材を投じてもう90年以上も探し続けているのがダークマターなのです。
名前こそ知られているダークマターですが、その正体を掴んだ研究者はいまだ皆無。もし発見されれば、ブラックホールの発見以来のビックニュースになってもおかしくはないでしょう。
ちなみにブラックホールの予言は1916年。その存在は1995年、中井直正教授により証明されました。
(THE INNOVATOR/関西学院大学「世界で初めてブラックホールの存在を証明。」)
https://kwansei-ksc.jp/innovator100/innovator/018.html
本当にダークマターを見つけたのであれば、もちろんトップニュース扱いですから、ダークマター発見者としては「スルーされればふて寝」したくもなりますね。
ついに東大でダークマターの直接観測に成功か
東京大学の戸谷友則教授が、NASAのフェルミガンマ線宇宙望遠鏡の観測データから、ダークマターの直接的な証拠となるガンマ線を検出したと発表・・・。
(Gigazine 2025年11月29日)![]()
※イメージ画像
ダークマターの存在が最初に示唆されたのが1933年ですから、もう90年以上も見つからないことから、最近ではダークマターはなかったという説まで発表されていました。
何十年かけても見つからない「ダークマター」の3つの候補とは?
多くの専門家は、遅くとも記事作成時点から10年以内にはダークマターの正体がつかめるだろうと、明るい見通しを持っています。あるいは、ダークマターは存在しないということが判明し、それが未知のまったく新しい物理法則の発見につながる可能性もあります。
(Gigazine 2025年1月11日)
今年1月のニュースでは10年以内に見つかるか、見つからなければ新しい物理法則が生まれるだろうと書いています。
こんな悲観的な予測が出てくるのも当然のこと。海外の研究機関では5億ドル(775億円)もかけて観測設備を建設した国があるからです。
「暗黒物質(ダークマター)」の研究を行う謎の研究所「SNOLAB」に潜入
(Gigazine 2017年2月7日)
目には見えない暗黒物質に研究者たちはなぜ躍起になって取り組むのか。それは宇宙の25%がダークマターで構成されているからでしょう。
これを医学界に例えて言えば、「あなたの体内の25%は謎の物質であるけれど大丈夫。ちゃんと治療できますよ」と医者が公言するような状態なのかもしれません。
今回の発表で、ダークマター研究がよりいっそう進むことを期待したいですね。(水田享介)