「できる!」ビジネスマンの雑学
2026年01月26日
[1071]若者の心に忍び込むSNS、AIのいま

 先日、筆者が所属する大学寮OB会から案内があり、母校の大学がOB交流用のLINEを開設したので、登録しないかと一斉メールが届きました。

 LINEを使った詐欺事件が多発している今、なぜこのようなSNSツールで交流促進を図るのか。ひょっとしてこの案内が、OBをターゲットにしたニセサイトではないか。

 案内をしてきたOB会事務方に確認してもらったところ、どうやら本物らしい。しかし、筆者はLINE登録はないので、LINEの危険性を指摘しただけでその場は終わりました。

 こうしたSNSでのつながりは、全世代で一般化、悪く言えば蔓延していると言っても過言ではありません。

 ところで今どきの「Z世代の若者」はどんなツールで交流しているのでしょうか。
 それを調べたテレビ局のレポートをご紹介しましょう。

なぜZ世代は、SNSで連絡先交換するのか
「写真でどんな人か分かる」「いきなりLINE交換は驚く」「3アカウント使い分けて...」
通信で変わる"人間関係"
RKK熊本放送 2026年1月21日

 このニュースではZ世代(10代~20代後半)の若者は、すでにLINEから離れており、「LINE? 古い、上の世代の交流ツールでしょ」として敬遠しているようです。

 若者が使っていても上の世代やおじおば世代などがどっと流れ込んでくると、若者層が過疎化するのはFacebookなどでも見られる傾向です。

 ではZ世代の彼らはどんなSNSを使っているのでしょうか。

「インスタです。写真でどんな人かわかるから」(21歳)
「いきなり『LINE交換しよう』と言われると驚きます」(19歳)
「アカウントを3つ使っている。『リアルな友達用』『めっちゃ仲いい人用』『そうでもない人用』。付加価値がLINEより大きすぎて、インスタを交換しちゃいます」(18歳)
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結果は「LINE」派が8人に対し、「Instagram」派が92人
電話番号は「友人同士でも知らない」という声が多数派
※前掲のリンク記事より

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 この記事でわかったことがいくつかあります。

・LINEのIDはひとりにひとつなので、見知らぬ人や初対面では個人情報が見られるLINEではつながりたくない。
・インスタ(Instagram)は複数のID持ちができるので、交流の深さ-開示する個人情報レベルで使い分けができて安心。
・電話番号は誰にも知られたくない。リアルな会話のつながりは望まない。
・自分なりにSNSの危機管理能力は高いと自負している。

 この傾向は調査会社の統計でも、類似の結果が見られます。

スマートフォンの利用と旅行消費に関する調査(2025)
主なSNSや動画投稿サービスとしては、「LINE」、「YouTube」、「Instagram」、「X」となり、上位の顔ぶれは昨年と変わりませんでしたが、「LINE」と「X」はやや減少し、「Instagram」が「X」を超えて3位となりました。
JTB総合研究所 2025年12月17日

 特徴的なのは、SNS内の物販・サービスの利用が進んでいることです。スマホひとつで買い物を済ませるキャッシュレス化は日常に組み込まれています。
 かつてのようにファッション誌や情報マガジン、新聞やテレビなどいくつものメディアが複合的に若者文化をリードしていた時代は過ぎ去り、SNS一極となりつつあります。

 また、スマホやSNSの中でのAI利用も浸透しており、今後はAIとネットショッピング機能との融合が進むと考えられています。このまま時代が進むと、いずれは馴染んでいるAIが推奨するからというだけで、流行のトレンドや行動が左右される時代がやってくるでしょう。

 もちろん、AIの裏側にはそれをコントロールする企業があり、そこに食い込んだ企業が市場を独占できるはずです。その予測を先取りして、AIが未知数の今から、どの企業もAIを自社のビジネス戦略に取り込もうと躍起になっています。

 外からは見えないAI世界で若者の消費行動が完了してしまうと、ますます若者の動向は見えにくくなります。

 若者の意識がAIに依存してしまうことには非常な危険性を伴います。このままでは他の世代間との分断が進行してゆき、お互いが異世界に棲む存在としてリアル世界に共存を余儀なくされていくでしょう。

恋の悩みは、AIに!?
これまで悩み事があると、恋人や友人に相談してきた。
しかし、相手の答えに違和感を持つこともあった。
それに比べてAIは、自分に寄り添い、理解してくれていると感じる。
いまでは、AIにまず相談するようになっている。
その一方で、AIに依存してしまっているのではという不安を感じることもある。
最近は、恋人や友人から「あまり自分を出さなくなった。何を考えているのかわからなくなった」と指摘されることもたびたびだ。

「このままいくと、人間関係が希薄になってしまうのではないか」
NHK ONE/デジタル深堀り 2026年1月24日

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 恋の相談どころか、あっと言う間に人間の存在そのものがAIに支配されていく過程が、上記のニュースからもうかがえます。

 近い将来は人を見る時にどんな人柄かよりも、どのAIを使っているかでだいたいの人物評が出てしまうかもしれません。人間形成の過程に多様性を持つことは悩みや苦しさも同居しますが、AIはそれを肯定するふりをしながら、あっさりと同一性に置き換えてくれます。良くも悪くも。

 AIが登場して以降、若者も大人も難しい時代に生きていることを筆者は痛感しました。(水田享介)

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