人は誰しも年を経るにつれ、どこかしら不具合が出てきます。夜更かしができなくなった、大食いはもう無理、駅の階段を駆け上がれなくなった・・・。これは頑張りすぎや不摂生によるただの疲労であり、不具合とはいえませんね。
不具合とはパソコン画面の文字が見づらくなるなどの身体機能の低下を指します。そのなかでも本人にも他人にも気付かれにくいのが「耳が聞こえづらくなる」いわゆる難聴です。
ストレスや病気などで急に聞こえなくなる難聴は「突発性難聴」といい、治療や対策を施せばしだいに回復します。
しかし、年齢(老化)を原因とする難聴は徐々に聞こえづらくなる「加齢性難聴」のため、根本的な治療法はどうやらなさそうです。
難聴が多くなる年齢
音を聞き取る感覚器としての耳に、加齢に伴う組織の変化が始まり、聴力が低下し始めるのは30歳代からと言われています。
(中略)60歳代後半からは難聴を生じる可能性が高まるため、日常生活の会話で聞きづらさや聞き間違いがないかどうか、振り返っていただき、症状があるようであれば、・・・。
(国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター・公式サイトより引用)
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/38.html![]()
国の研究機関の調べでは「(肉体の)組織の変化」による聴力の低下は30代から始まっているそうです。
では難聴が発生する年代はというと、
「難聴のなかった60歳代前半の方が10年後に難聴を発症する割合(発症率)は約3割、70歳代前半の方が10年後に難聴を発症する割合は約6割・・・」
(同上)
聴覚に問題のなかった人でも、男性は60代後半から44%が、70代に入ると男女を問わず約3割が軽度の難聴になることが判明しています。
補聴器を付けることが最善の選択ですが、ある80代の方が子どもたちからプレゼントされた最新型補聴器を、付けたり外したりしているうちに紛失したそうです。実は今どきの補聴器は耳の穴にスッポリ入るほどの超小型でしかも、何十万円もする高額医療機器。気軽に買い直すわけにいかず、家中を探し回りようやく見つけたという苦労話もあるようです。
ある組織のトップの方は、部下からの報告や会議が聞こえづらくなったことを自覚して、60万円の高性能補聴器を付けています。重要な話ほどヒソヒソと話してくるので欠かせないそうです。
そんなに高額なら片耳だけ購入すればいいのかもしれませんが、会議では両側から発言してくるので・・・とのこと。役職者とは必要経費もよけいにかかるものですね。
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筆者が最近(2026年)の補聴器事情について調べたところ、意外な事実を知りました。
あのiPhoneがお値ごろ価格の補聴器として人気を集めているそうです。
その仕組みはiPhoneとAirPods Pro 2またはAirPods Pro 3をセットにすることで実現します。
iPhoneとイヤホンのAirPods Pro 2/3を同期させて「ヒアリング補助」を設定することで、補聴器として使うことができます。
AirPods Pro 2またはAirPods Pro 3の聴覚・聴力機能を使用する
AirPods Pro 2およびAirPods Pro 3は、軽度から中等度の難聴を認識している人に、医療用と同等のヒアリング補助機能を提供します。
(Apple公式サイト・AirPodsユーザガイド)
残念ながら筆者はいまだ加齢性難聴を発症しておらず、Appleのイヤホンも持っていないので検証できません。
具体的な体験記などは「airpods pro2 airpods pro3 補聴器」で検索するといくつも出てきますのでそちらでご確認ください。![]()
最新の記事では、アメリカの大学でアップル製品が聴覚補助機器として使えるかをテストした結果がでています。
AirPods Pro 2の「ライブリスニング機能」は補聴器代わりになるか?
騒音下で検証 米国チームが学術誌で発表
60代から90代以上の高齢者20人に参加してもらい、実験室の騒音環境下で、ライブリスニング機能のオン・オフを切り替えて音声の認識テストと記憶テストを行った。
(ITmedia NEWS 2026年04月13日)
この研究結果は学術誌「American Journal of Audiology」に論文(「Apple AirPods Pro 2 Live Listen as an Assistive Listening Device」)として発表しているため、信頼性のあるテストになっています。
また、騒音のある環境でも聞き取りができたことや会話が成り立ったことなどからも、実用性の高さも証明されています。利用場所が限られることやバッテリーの持ち時間に課題は残りますが、数万円で揃うわけですからお試しには最適かも知れません
あの白いイヤホンはヒップホップを聴く「いけてる若者だけのもの」と思っていましたが、高齢者にとっても救世主だったのですね。(水田享介)