ベルギーの国民食といえば揚げたジャガイモ、「フリッツ(フライドポテト)」といわれています。というのもベルギーはフライドポテトの発祥国だから。
それを裏付けるようにベルギーではひとり当たり年間76㎏のジャガイモを消費しています。ちなみに日本は年間約21キログラム。3倍以上の開きがあります。![]()
そんなジャガイモ大国のベルギーで異変が起きています。
余るジャガイモ、価格ゼロに
「ポテト王国」に異変―ベルギー
ベルギーでジャガイモ余りが深刻化している。・・・フライドポテト向けジャガイモの週次相場は、今年4月以降ゼロが続く。・・・保管・廃棄費用を抑えるため、収穫したジャガイモを畑に戻して処分する農家もいるという。
(時事ドットコムニュース 2026年6月15日)
ベルギーの国民がある日を境に食が細くなったわけでも、ジャガイモ嫌いになったわけでもなく、なぜジャガイモが積み上がり、価格がゼロ円(ユーロ)になったのか。その原因はヨーロッパ全域にわたるジャガイモの豊作でした。
統計によると「ベルギー、オランダ、ドイツ、フランス4カ国の25年の生産量は前年比10%増の2720万トン(暫定値)と過去最高を記録」(上記記事より)。
ベルギー国内でも約80万トンの在庫が積み上がっています。この量はベルギーのジャガイモ消費量の一年分に相当します。![]()
こうしたジャガイモ余りは2020年にも起きています。コロナ禍のため外出を控える人が続出。その結果、フライドポテトを買う人がいなくなり、75万トンも在庫を抱えてしまったのです。
75万トンのじゃがいもを無駄にするな!
ベルギーでは、フライドポテトを週に2度食べるよう呼びかけ
テイクアウトにするまたはレストランで食べるものと認識されているフライドポテト(またの名をベルギーフリッツ)は、特に打撃を受けている。
(BUSINESS INSIDER 2020年5月2日)
ベルギーは人口が1,100万人と、東京都を一回り小さくした都市国家のため、こうした呼びかけだけで過剰在庫を解消できるのかも知れません。
しかし、そうそう何度も「フライドポテトのおかわり」はできません。
しかも今年の過剰在庫は事前契約外の作りすぎですから、本当に行き場がないようです。![]()
ところで、このジャガイモ余りについて筆者には気がかりな問題を見つけました。
ヨーロッパで繰り返す夏の熱波です。フランスでは今週、40度以上の日々が続き、パリで41度、ボルドーで42度越えと、2026年6月23日は観測史上最も暑い日となりました。
欧州 熱波続く フランス気象当局「23日は観測史上最も暑い日」
(NHK ONE 2026年6月24日)
この日、フランス全土の平均気温が29.8度にも達したとのこと。熱波はドイツまで覆い尽くし、ベルギーもこの灼熱を逃れることはできません。この暑さが毎年繰り返すと、作物の生産に影響が出ることは明かです。
特に、冷涼な気候で育つジャガイモにとっては致命的で、いずれヨーロッパがジャガイモ生産に適さない気候になるのではないかと心配です。
そうなったとき、何を食べて生きていけばいいのでしょうか。作りすぎたジャガイモは他に使い道がないのだから、廃棄すればいい。それの繰り返しでいいのでしょうか。
食料生産の増減や備蓄の有無で人口が上下していた時代には、人道的にもう戻れません。
飽食の時代の先にある、不確実で見通しのきかない時代にわたしたちは差し掛かっているのかも知れません。(水田享介)