「できる!」ビジネスマンの雑学
2026年08月31日
[1157]大日本帝国【陸軍 VS. 海軍】、今夜放送

 テレビ番組「映像の世紀バタフライエフェクト」(NHK総合)は、太平洋戦争(第二次世界大戦を含む)関連の重大事件について、映像を織り込み回想するドキュメンタリー番組です。最近は戦争をテーマにした回が増えましたが、8月という事情があるかも知れません。

 2026年8月31日(月)の本日は、今は亡き大日本帝国の軍事組織を取り上げています。ずばり、「陸軍 VS. 海軍」というタイトル。大日本帝国にあった陸軍省と海軍省の内紛問題がテーマと思われます。

映像の世紀バタフライエフェクト
「陸軍 VS.海軍」
陸軍は中国大陸へ、海軍は太平洋へ、...。終戦をめぐる議論でも対立は続き、最後は天皇自ら決断するに至った。戦後、国家を破滅に導いた存在と見なされた軍は解体されたが、...。
NHK総合 初回放送予定:2026年8月31日

放送予定時間:8月31日(月) 午後10:00~午後10:45

 「陸軍と海軍の確執」は、太平洋戦争の発端問題、各戦域での連携なき敗北、無防備だった日本国土問題に必ずと言っていいほど主因のひとつに上げられています。

 もともと日本の近代軍隊は、明治初期に頻発した旧士族の反乱を鎮圧させるため、陸軍を増強したことによるもので、その頃の軍事予算は陸軍が主、海軍が従の関係でした。軍の目的は国内の治安維持にありました。

 その後、台湾出兵、日清・日露戦争などで海外派兵や海戦の比重が増すに連れ、海軍省の地位は向上。陸軍省との間で軍事予算の奪い合いが始まります。

 明治後半になると、陸海軍両省を統括してきた政治家や元老が姿を消し、頭の重しが外れた二者の対立は次第に激化していきます。

 省庁の権益対立による弊害はすぐに露呈します。兵器製造ラインの分断、作戦失敗の隠蔽など数限りなく発生して、番組案内であるように敗戦受諾すら決められない組織となってしまいました。

 この問題はあまりにも根が深く、対立が原因とみられる敗北、作戦失敗は戦争の全期間にわたっています。この番組を視聴される前に時間が取れるなら、新聞による検証記事を読んでおくことを強くおすすめします。

陸海対立、統制不能に
「統帥」機関である、参謀本部と軍令部は、用兵、作戦について、首相をはじめ政府側に関与させなかった。
ミッドウェー海戦の実情を軍令部は、首相である東条にさえ隠した。東条がその敗戦を知らされたのは、一か月以上もたってからだった。
読売新聞オンライン・検証 戦争責任より

「検証 戦争責任」トップ
https://www.yomiuri.co.jp/sengo/war-responsibility/

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※硫黄島に今も残る千鳥砲台の14cm砲と砲弾

 筆者が覚えている陸海軍が起こした問題は、思い出すだけでも以下の通りです。

・用語・武装の不統一
 (弾薬は共用できない別仕様。同じエンジンでも仕様を変更させた)

・航空機製造工場の分割。武蔵野製作所と多摩製作所
 (中島飛行機武蔵野工場は陸軍と海軍でふたつに分割された)

・原油の権益対立
 (スマトラ島、ボルネオ島の石油管理権をめぐる対立。海軍は石油輸送に非協力的)

・作戦失敗の隠蔽
 (ミッドウェー海戦、台湾沖海戦、海軍甲事件・乙事件...)

・日本陸軍が空母、潜水艦を建造
 (上陸艇「大発」、揚陸艦「神州丸」、空母「あきつ丸」※、)

※参考資料
「陸軍船舶部隊 文・長南政義」(『歴史群像』2026年4月号)より

・陸軍が海軍に秘匿して開発した「三式潜航輸送艇」

陸軍に「潜水艦」配備なぜ!? 旧日本軍が欲した切実な理由
極秘にし過ぎて「トホホな顛末」も
予算などで常に対立関係にあったといわれる旧日本軍の陸海軍。その代表例のひとつと見なされているのが、陸軍が潜水艦を保有したというもの。
乗りものニュース・凪破真名 2025年1月21日

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※三式潜航輸送艇、通称「まるゆ」

・太平洋戦争全体を俯瞰し統一見解を示す公的刊行物はいまもない
 (戦史叢書《防衛研究所》では先の大戦に統一した叢書をまとめようとしたが今も発刊に至っていない※)

※参考資料
「大東亜戦争」の開戦経緯はなぜ2つあるのか?
陸軍と海軍で"言い分"が違った理由
戸高:海軍にとって一番の敵は、アメリカよりも陸軍なのです。
DIAMOND ONLINE 2026年8月28日



 『私の履歴書』(日本経済新聞)だったと思いますが、ある有名企業の創業者の話。
 東京支店を立ち上げる時に、弁の立つ陸軍参謀経験者を責任者にしたそうです。しばらくして仕事ぶりを見に行くと、豪華な執務室に招き入れられ、壁に掲げた日本地図に赤ピンをいくつも刺して、これからドンドン占領地を広げていきますと意気込んでいました。創業者は時代が違うとすぐにファイヤーと、クビにしたそうです。

 敗戦後の日本はやっかいな時代であり、やっかいな人々が跋扈していたようですね。

 番組では対立のどの部分を取り上げるのか。そして陸海軍の解体にいたる道程はどうだったのか。軍事にはあまり詳しくはない筆者ですので、本編を視聴するのが楽しみでなりません。(水田享介)

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