今年は豪雨や線状降水帯の発生のせいで、全国各地でクルマの水没事故が多数発生しています。危険な水深になった低地やアンダーパスに気付かず、思いも寄らぬ大事故に遭われた方も少なくありません。
天気予報などの注意喚起はあっても、なぜ人は同じような事故に遭遇してしまうのでしょうか。
千葉豪雨で車両1万5000台が被害か、
「乗らない・進まない勇気が必要」指摘...
金子国交相「全国で起こりえる」
全国初の「レベル5大雨特別警報」が出た千葉豪雨...水没車両の4人を含む13人が亡くなった。レベル5の雨は石川、富山、福井県にも降り、8日は東海地方も豪雨に...。
(読売新聞オンライン 2026年9月14日)
去る8月13日に発生した「千葉豪雨」では、当初2500台の車両が浸水被害にあったと発表されました。しかし、それは道路に立ち往生した車の数に過ぎず、
「駐車場で浸水した車もあり、車両保険請求ベースだと、千葉県内で少なくとも1万5000台以上」(同上記事より)
ものクルマが被害に遭ったそうです。
人はなぜ道路が水没する大雨の中、クルマを走らせるのか?そこにはこの水たまり(実は池)は抜けられると根拠なく思う「正常性バイアス」、家の近くだしいつもの道だからという「近接効果の油断」があるそうです。
それ以外にも、車内空間が快適すぎるがため、「クルマが構造的にもつ水への脆弱性」を学んでいないこともありそうです。![]()
筆者はクルマ産業に従事する身内が多いこともあり、中学生の頃から車の点検や修理を手伝ってきました。
自動車は乾いたアスファルトの道路を走ることを前提で設計されており、少しの水位(数センチ以上)を走行しても、後から何らかの不具合が発生します。
ご自身の車があれば、まずは車体後部のマフラー口、排気管の地面からの高さを測ってみましょう。
地面から15センチなら、水位が15センチを超すと間違いなく故障します。よくタイヤがどのくらい隠れているかをテレビで紹介していますが、その判断はまったくあてになりません。
エンジンに僅かでも水が入ると、もう買い換えるか配車にするしかないでしょう。
エンジンを交換して動作保証までする修理業者は少ないと筆者は思います。もしあったとしても車を買い換える程の費用になるはずです。
クルマの居住性が高まり、車内空間が快適になりすぎたためでしょうか。バンパーやフロントグリルで水を押しながら走っている映像をテレビでみることがあります。
車内の気密性は高まっていますからドライバーは濡れることはないでしょう。しかし、もうエンジンは水に浸かっておりとても危険な状態です。実はエンジンルームは外気にさらされています。クルマを下から見上げると、エンジンや配線は手でさわれる状態です。最近はアンダーカバーのついたタイプもありますが、気密性は低く水は入り放題です。
水没した車が前のめりになって浮いているのは、エンジンが重いこともありますが、エンジンルームは完全に水没している一方、車内に空気が残っているためです。
筆者がこの危険性をながながと書くより、ひと目でわかるサイトがあります。ぜひこちらをご一読ください。
突然の豪雨 ※ご注意下さい※
ゲリラ雷雨がよく起こる季節 冠水路にご注意下さい!
近年はゲリラ雷雨のように、突然の豪雨に見舞われることよくありますよね。そんな時に注意して頂きたいのが、下のような冠水路です!
(ダイハツ千葉販売 2021年8月16日)
筆者が述べてきたことが、写真とスタッフの方の熱演でわかりやすく解説されています。
排気マフラーのないEV車は、ガソリン車とは違った注意が求められます。ほとんどのEVは、重量のかさむバッテリーは車体床面に敷き詰めてあります。タイヤが半分ほど隠れる冠水路ではバッテリー筐体はすでに水没状態です。![]()
EVとはパソコンで走らせる構造です。パソコンが人を乗せて走っていると思った方がいいでしょう。パソコン(EVカー)のバッテリーが濡れた状態のまま通電すると、すぐに不具合がでなくともいずれ故障します。一刻も早く配線、コンデンサ類、基板、バッテリー等の点検が必要です。
冠水したクルマ、僅かに水没した車でも当座は走るから大丈夫と思いがちです。しかし決して安全とは言い切れません。不具合が出ていなくても、早めの点検を心がけましょう。(水田享介)