社長業!営々黙々とやっております
2022年06月22日
中小企業のビジョンは泥臭いですか?

半年に一度のOne on Oneミーティングを行いました。今回もいい意見をたくさんいただきました。出てきた意見はすべて正しいと思えます。

例えば「会社の目指す先、ビジョンを明確にしてほしい!」という意見はもっともなことです。ただ私の性格として世にあふれているような恰好の良いビジョンはどうもこそばゆくて掲げられないのです。それでも自社のビジョンはあるでしょ?と聞かれれば、ビジョンとまでいかないものの時代即応のためのキャッチフレーズは持っています。この考えは会議の折に触れていますが、「質素に、小さく、ゆったりと、強く、しぶく、たくましく」なのです。会社は成長こそが命なのでは?と突っ込まれそうです。新人さんも不安を感じてしまうのではないかと自分でも思うほどの泥臭さです。

金沢の優良企業である会宝産業の近藤典彦会長の教えに「下山の経営」があります。雲行きの怪しい時代には、山頂を目指さず5合目、6合目の安全地帯まであえて下る。雲が切れて霧が晴れるまでじっとする。すると違う山が見えてくる。それまで力を蓄えよ!と言います。易経でいえば一度は「亢龍(こうりゅう)」となるということでしょうか。会社というものは上り坂はコツコツ積み上げていけるが、この下り坂にめっぽう弱い。ヒト・モノ・社歴慣習という重たい荷物を持っているので、どうにも勢いがつきすぎてたいてい途中で息もあがり転げ落ちるわけです。三国志、戦国時代の話でてくる部隊(事業)を引き上げる際の難しさ、「殿(しんがり)」の重要さは会社経営においても同じです。

一見するとビジョンは超消極的に見えるのでしょうか。登山、航海の生還録を読むと、悲劇の始まりは、イケイケどんどん、無謀な計画、予測不能な事態の発生、運のなさ、勝手なふるまい、大きく構えるなどのスキがあることです。そのことにより多くの仲間を失い全滅。もしくは状況に適応した一部の人のみが生還します。いまは大変な時代です。この環境でも強い会社にしたい!と願います。自己資本比率を常に高めておきたい、いまを維持するんだ!と常に考えております。10年ほど前でしょうか。日経主催のエーワン精密の創業者 梅原勝彦さんに学ぶ会では「会社は1年良くて、5年は悪い状態でも耐えるようにする!」という話は稲妻のように私の頭を直撃しました。「1年良くて、5年は耐えらえる会社へ!」

まさに五里霧中のVUCA時代。下山できる場所までいくことは濃霧経済には絶対に必要なのです。景気のいいときは問題の箱が開いていても気にならない、気づけないものです。しかしひとたび景気が悪くなると、問題の箱に気づくものの閉じるどころか、次から次へと箱が開いていきます。やっていることは実にシンプルに、小さく、速やかに手の打てる体制を、形式的なビジネス習慣はすべて解消していきます。

社長を引き継ぎ18年間が経ちました。なんでいまここに自分がいるのか?青春時代を謳歌する友人と稽古三昧の若かりし日の野村萬斎さん。「なんで僕が伝統を継がなければならいのか?」と父万作さんに尋ねたそうです。返ってきた言葉は「私にも分からない」だったそうです(NHKファミリーヒストリーより)。このたった2つのフレーズがとても深く沁みました。その理由はいつかきっと分かる日が来ると信じています。さて、どういうわけか会社は確実に若返っています。ついに自分も組織の平均年齢を上げる存在になってしまいました。若い人が前向きに働ける環境整備にとにかく力を入れつつ、会社を支えるスピード感のある決定と事業展開にも力を入れていきます。今日も「営々黙々花が咲いても咲かぬでも」の精神で頑張ります。

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