「できる!」ビジネスマンの雑学
2018年12月17日
[627]センパイ。それ、死語だと思います

 30代以上の方であれば、若手社員や学生アルバイトのみなさんと話が通じなかった経験は誰しもがお持ちのことと思います。

 さほど難しい話はしていないはずが、相手が首をかしげたり、理解されてなかった場面に思い当たる方は、次のことに気をつけてください。それはあなたが使っている言葉の意味が若者に理解されていないことが原因かもしれません。

 その原因を端的に言うと、「死語」です。

若者の最新死語事情、「ダビングする」「写メる」「着メロ」
 《花金限定! ビール割引します!》。居酒屋のポスターを見ながら、「『かきん』ってなんだろう?」「さあ?」と首を傾げる大学生2人組。
 この様子をたまたま目撃した本誌・女性セブンの女性記者G(40才)は、思わずションボリした。
 「この2人、"ハナキン"を知らないなんて...。うう、この前20代の後輩たちに『花金だから飲もう』とつい言ってしまったけど、実は意味が通じてなかったのかも? あ~、恥ずかしいっ!」※女性セブン2018年9月13日号
NEWSポストセブン 2018年9月1日掲出)

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※花金のイメージ

 せっかくですのでここで代表的な死語をリストアップしてみましょう。


 「花の金曜日」、略して「花金」。まぎれなく死語です。

 「バタンキュー」。思いっきり死語です。

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※バタンキューのイメージ

 「これ『写メ』しといて」。死語ですから伝わりません。

 「おはヨーグルト」。挨拶、返ってきません。

 「『着メロ』、変えたの?」。意味がわかりません。

 「メンゴ」、「わけわかめ」。日本語でお願いします。

 「チョベリバ」、「チョベリグ」。セットでつらすぎる死語です。

 「アベック」。安部さんのことですか。

 「よっこいしょういち」。もはや何を言いたいのか。

 このほかにも、「余裕のよっちゃん」、「アウトオブ眼中」、「おニュー」、「ちょっとタンマ」、「ナウい」、いろいろありますね。

 死語になる言葉にはいくつかのパターンがあるようです。

 ひとつは道具やツールが変革を遂げて、古いツールと一緒に消え去った用語。「写メ」、「着メロ」、「テレカ(テレホンカード)」の他に「チャンネルを回す」、「ダイアルを回す」、「巻き戻し」などはアナログ時代の尾を残す代表例です。

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※黒電話

 もうひとつは同世代だけで通用した感情表現。「ナウい」、「バッチグー」、「ガビーン」などは、現在の若者には理解不能のため、もはや言葉として受け付けてはもらえないでしょう。数年の年齢差の世代だけではやった感情表現は、後の世代に受け継がれることなく、「秒(速)」で死語と化します。

 一回聞けば十分なおやじギャグもせつない存在です。「ゆるしてちょんまげ」、「そんなバナナ」、「あたり前田の」、「国鉄で行こう」。読んでいても疲れそうですね。書いていても疲れました。

 ところで筆者が長年、死語だろうと思っていて死語ではなかった言葉があります。

 「しれっとする」

 このしれっとするの意味は「平然とする」、「図々しくする」という意味です。「臆面もなく」が近いのですがしれっとするが感覚的にしっくりくるのでしょう。今もよく使われていますが、実はかなり古い言葉です。

 太平洋戦争を戦い抜いた零戦パイロット、一説には202機を撃墜したと言われる岩本徹三氏が、訓練時代から八年間の空戦体験を回想した手記のなかで、しばしばこの「しれっと」が出てくるのです。

 『零戦撃墜王―空戦八年の回顧』(岩本徹三:著/光人社NF文庫)

 おそらく作者の口癖か、組織内でよく使っていたのでしょう。調べてみると九州北部の方言とも海軍内の隠語とも言われ、標準語なのか判然としません。岩本氏は1930年代から1945年まで海軍パイロットでしたから、しれっとを使っていたのは今から80年も前のこと。一時の流行語だろうと筆者は理解していました。

 しかし今でも若者がしれっとこの言葉を使っているのを聞くと、ほかの言葉に言い換えできない言い得て妙のことばなのかもしれませんね。

 「他に置き換えできない存在」がいかに優れたことか。些細なことにはアウトオブ眼中の自分でありたいものです。(水田享介)

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