日米間の関税問題、いわゆる「トランプ関税」がいよいよ佳境を迎えています。
特にトランプ大統領が強調するのがコメと自動車です。大統領の発言によると日本はアメリカ産のコメに700%もの関税をかけているとのこと。
「アメリカ産のコメに700%の関税」トランプ氏の発言 真偽は?
ホワイトハウスでの演説で、「われわれの友人である日本はアメリカ産のコメに700%の関税をかけている」と述べて批判...。
(NHK NEWSWEB 2025年4月20日)
この記事では、自動車の輸出入の不均衡にも触れ、
「日本での米国車販売「ゼロみたいなもの」」、
...ホワイトハウスでの演説で、
「日本では自動車の94%が日本製だ。トヨタはアメリカで100万台の外国製の車を販売している。一方、ゼネラルモーターズもフォードもほとんど販売をしていない。このような恐ろしい不均衡は、わが国の産業基盤を荒廃させ、国家の安全保障を危険にさらしている」...
(上記記事)
とも語っています。
しかし、トランプ氏とは呉越同舟(かもしれない)状態のイーロン・マスク氏は、最近のネット動画でトランプ氏とは異なる見解を述べています。
Elon Musk Tells The HILARIOUS (and true) Joke The Japanese Used To Tell About Why American Cars Lost
(Achieve Success/14万回視聴 4か月前)
https://youtu.be/pmCEzEDiYx0?feature=shared
動画のマスク氏の発言はわかりやすい英語ですので、ぜひご視聴ください。
彼は古いジョークだがと前置きして、
「日本の自動車会社は8人の漕ぎ手にひとりの舵取り(steering)がいた。アメリカはひとりの漕ぎ手に8人の舵取りがいた。70~80年代、日米間でそんなボートレースをやっていたんだよ。」
と2回も繰り返します。(※1)
「そしてレースに負けたアメリカは、そのひとりの漕ぎ手を解雇したんだ(they fire the rower.)。事実だよ。みんなボス気取りで、労働を嫌がってた。」
アメリカの製造業は海外へのアウトソーシングが一番儲かると気付いた結果、近隣諸国、アジア、特に中国に製造拠点を移してきました。その代表例がiPhoneで有名なアップルでしょう。近年のIT企業は製造部門など最初からなく、怪人のプログラム部門も人件費の安い海外においています。
アメリカの製造業が利益追求を極めた結果が今の状態であることを理解しているマスク氏は、いつまでトランプ政権内に留まるのかは不透明です。
アメリカ政権内、米産業界にはいくつもの意見があり、トランプ氏の主張だけでものごとが決まるわけではありません。
当然のように、当コラムでも関税についての未来予測は不可能です。交渉の行く末を見守るしかなさそうですね。(水田享介)
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(※1)(steering)を船頭と和訳する例が多いが「船頭多くして船山に上る」の諺に引っ張られた訳のようです。船頭とはひとりで舵も取る漕ぎ手のことで和船に限ります。ここでは船頭とすると語呂は良くても意味が通じなくなるので「舵取り」としています。