一日が24時間であることは私たちの常識であり、疑いようのない不変の法則となっています。
もしも昨日の8時間勤務と今日の8時間勤務の時間的長さが異なるとしたら、時給で働く人はもちろん、タイムカードで勤務状況を管理している会社員にも少なからず影響が及びます。
ところが最近の精密な地球測定によると、今年に入って「一日の時間がとんでもなく短くなっていた」ことが判明しました。
地球の自転速度が急上昇、7月10日は2025年最短の1日、原因不明
北半球では今、人々が夏の長い日照時間を満喫しているが、多くの人が気づいていない事実がひとつある。現代的な方法で時間を測るようになって以来、1日の長さが特に短い日々を経験している...。
(ナショナルジオグラフィック 2025年7月24日)
「過去10年間、1日の平均的な長さはおおむね短くなってきています。...1日が24時間に満たないこともありました」
(前出記事より:米海軍天文台地球姿勢部門の天文学者ニコラス・スタマタコス氏)
天文学者はさらりと恐ろしいことを言います。短くなった時間とは「1.38ミリ秒短かった」とのこと。
ミリ秒ですから人の感覚では感じ取れないのですが、地球という天体にとってはとても大きな数字といわれています。
ではなぜ地球の自転速度が上がったのか。![]()
地球の自転とはいくつもの要因が重なり合って24時間で一回転するのですが、その要因に変化が現れたそうです。
要因とは、月の接近、気流の変動、地球内部の核の速度などです。なかでも世界中で建設が進む巨大ダムは膨大な水量を一カ所に貯め込むため、地球の自転に影響を与えているとの指摘があります。
世界最大のダム、満タンになると地球の自転を遅くしてしまう
NASA(アメリカ航空宇宙局)の2005年の報告によれば、中国湖北省にある「三峡ダム」は、...この膨大な水の移動によって、地球の形は赤道がわずかにふくらみ、極地域が平ら気味に変形し、1日の長さが0.06マイクロ秒長くなる可能性がある...。
(GIZMODO 2025年5月25日)
巨大ダムは本来あるはずのない場所に水を移動させ、その巨大な重量移動により「フィギュアスケーターが腕を広げてスピンの速度を調整するようなもので、三峡ダムという「腕の動き」が、地球という「スケーター」の回転に影響している」とのこと。
また、極地にある氷床が溶けることでも同じ効果があり、地球の自転を遅くするそうで、つまり人類の爆発的な経済活動により、一日の時間は伸びる傾向にあるそうです。
太古の昔、約4億3000万年前は一日の時間は21時間、7000万年前でも23.5時間だったそうですから、将来的に地球の時間はしだいに伸びるだろうと思われていました。
しかし、今月に起きている一日の時間が短くなっているとの観測には矛盾しています。
結局、地球の自転に影響を与えている要因は何かということも、それが時間を伸ばすのか短縮するのかも、科学的に特定するには至っていないようです。
今の時点でわかっていることは、最近はたびたび地球の自転速度が上がっており、次回は「2025年8月5日も歴史的に短い1日になる」との予想が出ています。
若者の皆さんは歴史的に短いというこの日をどう受け止めるでしょうか。筆者は若い頃に比べると、一年が過ぎる時間の速さ、短さを身にしみて感じています。来る8月5日が一瞬で通り過ぎても、さほどショックは受けないことでしょうね。(水田享介)