AIはいまではネット上、オフィス、カスタマーセンターなどあらゆるシーンで導入が進んでいます。
そうでなくともメールなどのビジネスから画像処理までAI搭載とうたうアプリも増えています。
その理由は便利だから、人を減らせる、サービスレベルが安定しているなどさまざま。しかし、とんでもない誤回答をしたり、役に立たない回答ばかり繰り返すなど、まだまだAIシステムには課題も残っています。
教育現場への導入は、年齢制限(13歳未満は利用不可)はありながらも積極的に使わせる国がある一方で、EUのように「AI規制法(Artificial Intelligence Act)」を設けて、1)許容できないリスク~4)最小限のリスク、までの4段階のリスク分けをしてAI利用を段階的に制限をかけています。
AIの法規制をめぐる各国の動向と日本企業への影響
(ソフトバンク 2025年3月14日掲載)
教師が出す課題をAIに読み込ませ、その回答を丸写して済ますコピペ学生が増えたことは、AIが教育の意義を失わせると問題化しています。
これまでAIといえば手放しで受け入れられてきた態度から一変、各国とも隠された悪影響に警戒の色を示しています。
AI開発を監視対象にするべきとの意見すら出てきて、AI開発企業はこうした批判をかわすためか、それもと真摯に問題に向き合った結果なのか、その対応策を打ち出しています。
ChatGPTがこのたび「学習モード(Study Mode)」を搭載したそうです。
ChatGPT新機能「学習モード」 問題を解く過程を提示
ChatGPTの「Study Mode」は、単なる回答提示だけでなく、問題を段階的に解く過程を通じて理解を深めるための学習機能となる。大学生を想定して設計しており、宿題や試験の準備、新しいトピックの学習に特に役立てられる...。
(Impress Watch/臼田勤哉 2025年7月30日)![]()
※「学習モード」に入るには「ツール」>「あらゆる学びをサポート」![]()
※「今すぐお試しください」をクリック
記事によると、少し難しい数学の問題や与えられたテーマでエッセイを書く課題では、「学習モード」のChatGPTはすぐに回答は返しません。
解決につながる考え方のヒントを出したり、より易しい質問を投げかけてきて、質問者が正しい回答にたどり着けるよう段階的に導いてくれます。
さらには生徒が理解したことを確認できる類似の課題も出してくれます。
筆者はためしに、塩水を作る問題をChatGPTにたずねてみました。![]()
※塩水を作る課題を質問するがすぐに正解は教えない![]()
※計算式を考えるヒントが与えられる![]()
※「確認問題」がでてくる![]()
※類似の疑問を尋ねると論点をまとめて返してくる
まるで教育熱心な教師が常にそばにいてくれるかのようですね。
ようやくAIの能力が活かされる活躍の場が生まれたのかもしれません。
日本の教育現場はデジタル化が進行して、生徒ひとりに一台のタブレット(もしくはパソコン)が配布されています。しかし、それらの機器を使って学習できる教材は決定的に不足しているのが実情です。
従来ある紙の教科書をデジタル化しただけでは、生徒の学習効果が上がるはずがありません。
この「学習モード」がより汎用化すれば、教師と一対一で学ぶのに近い対話形式で正しい思考過程に導いてくれる教材となることでしょう。(水田享介)
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【関連リンク】
学習モードが登場
(OpenAI・公式サイト 2025年7月29日)
https://openai.com/ja-JP/index/chatgpt-study-mode/