家庭でおいしいコーヒーを飲みたい時、粉に挽いたコーヒー豆を紙フィルターに投入し、熱湯で漉(こ)す「ドリップ式」を選択する事が多いようです。
いわゆる街の喫茶店ではおなじみの風景です。このドリップ式コーヒー、日本では主流ですが、海外ではあまり見かけないそうです。
海外では手間のかかるドリップ式よりも、ボタンを押すだけでコーヒーが入るエスプレッソマシンが一般的だからです。
ところが最近では訪日客が日本で飲むドリップ式コーヒーの深い味わいに魅了され、このドリップ式の良さが見直されています。![]()
※「ペーパードリップシステム」で淹れるコーヒー
この「ペーパードリップシステム」は1908年、ドイツ・ドレスデンに住む主婦のメリタ・ベンツが発明。画期的システムとして瞬く間に世界中に普及しました。![]()
※「メリタ」創業者、メリタ・ベンツ(Melitta Bentz)[画像提供:メリタジャパン株式会社]
アメリカの大学では、ドリップ式淹れ方を科学的に研究して、最高の味を引き出す方程式を編み出した研究グループがいます。
コーヒー粉に湯を注ぐ「高さ」がコーヒーの抽出効率と風味に大きく影響する
ペンシルバニア大学の研究チームが、ドリップ式コーヒーの抽出過程における水流とコーヒー粉との相互作用を解析した結果、「豆の使用量を減らしても豊かで風味のあるコーヒーを淹れる方法」を発見...。
(Gigazine 2025年04月09日)
その方程式である、淹れ方の奥義にはこうあります。
・熱湯はコーヒー粉にゆっくりと注ぎ、豆がお湯に浸かる時間を長くすること
(the authors recommend pouring hot water over your coffee grounds slowly to give the beans more time immersed in the water. )
・(お湯を注ぐ)理想的な高さは、フィルターから50センチ(約20インチ)以内。
( The ideal height is no more than 50 centimeters (about 20 inches) above the filter. )
・この最適な高さを実現するには、昔ながらのグースネックのティーケトルが最適
(The classic goosenecked tea kettle turns out to be ideal for achieving that optimal height. )![]()
※グースネックのティーケトル
※引用元「Fewer beans = great coffee if you get the pour height right」
(Ars Technica/Jennifer Ouellette 2025年4月9日)
https://arstechnica.com/science/2025/04/the-trick-to-making-great-pour-over-coffee-with-fewer-beans/
詳しくはリンク先の記事(英文)を読んでいただくとして、大事なのは水流の高さ、流速、太さの三要素となっています。しかしそれをどうやって実現するかは、結局の所、淹れる人の腕次第かもしれません。
筆者の知る限りでは、お湯の温度、1回で注ぐ湯量、インターバルの時間と注ぐ回数など、他にも大事な要素があったはずですが、この研究では流体研究に特化している点が目新しいですね。
お湯の流体研究という新たな視点が加わり、コーヒーをおいしく淹れる方法は、まさに百家争鳴状態。
迷った時はプロの声に耳を傾けるのもいいかもしれません。あのUCCグループからコーヒーの本が出ています。(発売日:2025年6月24日)
『コーヒーの授業 ~豆選び、淹れ方、飲み方から健康にいい話まで~』
(出版社:イースト・プレス 監修:UCCコーヒーアカデミー)
UCC ニュースリリース
https://www.ucc.co.jp/company/news/2025/rel250624a.html
究極の一杯とまではいわなくても、おいしいコーヒーさえあれば、毎日の仕事もはかどること間違いなし!ですね。(水田享介)
---------------
【関連サイト】
メリタジャパン株式会社・公式サイト
https://www.melitta.co.jp/