「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年08月27日
[1014]8月26日は「火山防災の日」

 内閣府では8月26日の「火山防災の日」にあわせて、富士山で大規模な噴火が発生した時、どのような被害が想定されるかをシミュレーションしたCG映像を公開しました。

富士山の大規模噴火と広域降灰の影響 全体版(10分07秒)
https://wwwc.cao.go.jp/lib_012/kohaimovie.html
(内閣府・公式サイト)

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 富士山が噴火する動画はCGですが、それ以外の火山で発生した最近の噴火や様々な現象については、実際の記録映像が使われています。

 どの映像もこの場所には居たくないと思わせるものばかり。特に御嶽山(おんたけさん:2014年に噴火)の映像は山小屋の破壊はすさまじく、ここに駆け込んだ避難者は命からがら助かったことがわかります。

 この映像では噴火にまつわるさまざまな火山現象を紹介しています。

 「噴煙、噴石、火山弾、溶岩流、火砕流、融雪型火山泥流、降灰、降灰後の土石流」などなど。

 噴火と言っても人が受ける災害の原因は噴煙だけではないことがわかります。

 現在は噴火の兆候の見えない富士山について、火山研究者の見解は注目すべきものがあります。(映像の3分30秒から)

「(富士山は)平均すると30年に1回は噴火していた」
「300年以上噴火していないのは少し異常」
「次の噴火はいつおこっても不思議ではない」
(山梨県富士山科学研究所 所長・東大名誉教授 藤井敏嗣氏)

 実際に富士山が噴火したら、首都圏はどうなるでしょうか。

 映像では降灰の被害を想定しています。電力の送電障がい、鉄道や車両交通の不通、降灰が降り積もった結果の家屋倒壊、呼吸器疾患など、生活全般に影響は及びます。

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※イメージCG

 富士山噴火は起こって欲しくはありませんが、自然現象の噴火を止める方法はありません。

 江戸時代中期に発生した宝永の噴火(1707年:宝永4年)は有名です。2週間以上続いた降灰により、江戸の街は灰が雪のように降り積もり、昼間もあんどんを使い、江戸中が咳をする人であふれたとあります。

 その一部始終を儒者の新井白石が随筆『折たく柴の記』に詳しく書き残しています。

折たく柴の記
...前夜の地震に続いて昼頃から雷鳴のような音が聞こえ、やがて雪のように白灰が降ってきたというのです。降灰は午後8時頃止みましたが、地鳴りと地震はそのまま。25日からは黒灰が降り始め、空中に飛散する大量の火山灰で呼吸器の疾患を起こす人が続出...
国立公文書館・「天下大変 資料に見る江戸時代の災害」 現代語訳
https://www.archives.go.jp/exhibition/digital/tenkataihen/earthquake/contents/21/index.html

 宝永噴火で消えた村を発掘する作業も始まっています。

発見!富士山噴火で消えた村 300年の時を超えた教訓
2019年6月、調査が行われたのは静岡県小山町の須走地区。かつて須走村があった場所です。発掘には考古学・火山学・建築学など、分野を超えた専門家たちが集まりました。
NHK NEWSWEB 2020年7月20日

 記事によると富士山の宝永噴火とポンペイを埋没させたヴェスヴィオ火山は、同じ「ブリニー式噴火」だそうです。
 「ブリニー式噴火」は「長時間にわたって大量の軽石や火山灰を噴出するのが特徴」。もし富士山が噴火すると、ポンペイの被害と重なる事例も出てくるかもしれないそうです。

 ヴェスヴィオ火山の噴火では、古代ローマ時代の博物学者「プリニウス」が火山活動を近くで観察しようと近づきすぎたため、噴煙や硫化水素などにより、死亡した(西暦79年)ことは有名です。

 地震や火山の故事を紐解くといくつもの教訓が書き記されています。先人たちが残した警告の言葉を重く受け止めて、防災に努めたいものです。(水田享介)

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