「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年08月29日
[1015]振り込め詐欺の新手口、公開

 最近、ますます被害が拡大する振り込め詐欺ですが、その原因にあげられるのが詐欺手口の多角化、巧妙化にあります。

 詐欺の多角化とは、かつてオレオレと言って子や孫を偽っていた犯罪者たちは警察署、役所、省庁などの公的機関を騙(かた)ることで依存心や恐怖心を植え付け、被害者を意のままに操るようになりました。また着信した電話番号を0110などそれらしく偽装し、抜け目もありません。

警察官等をかたる詐欺
最近、警察官を装った詐欺の電話が激増しています。
着信画面に、警視庁の代表電話(03-3581-4321)や末尾が(0110)の警察署代表番号を偽装表示させ、警察官からの電話と信用させる手口です。
まずは、落ち着いて一旦電話を切り、家族や知人に相談...。
警視庁・公式サイト 2025年5月15日
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/tokushu/police_officer.html

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※警視庁

 犯人たちはビデオ通話にも堂々と登場して、『「警察手帳」や「逮捕状」を見せるケース』(前出サイトより引用)まであり、手口の巧妙化はいっそう進んでいます。

 なぜ社会経験を積んだ大人がこうも易々と詐欺に遭ってしまうのでしょうか。
 犯人たちは名簿などを入手して、ターゲットとなる人の個人情報を把握してから電話やSNSで接触してきます。
 一般には公開していない個人情報や知られたくないプライベート情報から切り込んでくるため、つい慌ててしまうということもあるようです。

 いま、振り込め詐欺は世界規模で拡散しており、まだ日本では見られない手口が外国で発生しています。

 その中でも「家族の声を音声合成で偽装する」手口はとても危険な詐欺として紹介されています。

「お父さん、助けて」──
家族の声をAIで模倣、巧妙化する「緊急事態詐欺」の手口 タイ首相も被害に
 「息子は泣いていた。『お父さん、事故を起こした。妊婦が運転している車に衝突して自分は鼻を骨折した。今は逮捕されて刑務所にいる。弁護士に電話して。ここから出して。助けて』」
ITmedia AI+・鈴木聖子 2025年01月29日

 事故・事件に詳しいはずの米国の弁護士が助けを求める声を息子の声と確信したとたん、やすやすと詐欺に引っかかってしまいます。
 すんでの所で振り込むまでには至りませんでしたが、それでも弁護士としての自負は打ち砕かれ、相当のショックを受けた様子が描かれています。

 一般人であれば欺されていたこの手口、いずれ日本でも犯罪に利用されることが考えられます。

 筆者が予想する手口はこうです。

1)ターゲットとなる被害者の家族に自動音声などで電話をかけて、音声を録音する
2)録音した家族の音声からAIに助けを求める音声を生成させる。もしくはリアルタイムに声を変えるアプリにその声サンプルを登録する
3)ターゲットに電話をかけて、AIやアプリで声色を真似て詐欺を働く

 わずかな声サンプルさえあれば、ターゲットの家族の声を真似ることが可能だそうです。

 AIは人の役に立つとさかんに報道はなされていますが、犯罪者たちにはかっこうの悪事のツールとなっています。AI自身は良心など持ち合わせませんから、良いことにも悪いことにも持てる性能いっぱいの結果で応えているにすぎません。
 そのためこうした犯罪に対抗するのもAIが利用され始めています。

詐欺電話に延々と応対し時間を浪費させるAIおばあちゃん、O2が開発
 「そんなことより、うちの猫ちゃんはね」──詐欺電話にゆったりした優しい声で延々と応対し、相手の時間を浪費させるAIおばあちゃん「デイジー」(Daisy)。
ITmedia NEWS2024年11月17日

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※おばあちゃん再登場
 [036]愛煙家よ立ち上がれ、タバコと肺がんに関連性なし!?

 AI利用に何の規制もないということの結果が、社会にこのような犯罪を氾濫させているといえるでしょう。(水田享介)

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