「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年10月08日
[1031]ヒトがお酒を好む理由が判明?

 私たち人間は、いえ人間の大人たちはどうしてこうもお酒が好きなのでしょうか。

 パーティに慰労会、暑気払いに忘年会、祝賀会に残念会。嬉しいにつけ悲しいにつけお酒を飲む口実は数限りなく思いつきます。

 飲みすぎた翌朝は「もうしばらくお酒は飲みたくない」と思うのですが、夕方になり街の居酒屋の赤提灯を見るとつい入りたくなる...。

 実はそんな悲しい性(さが)は決して自分のせいではなく、ヒトが大昔から受け継いできた本能かもしれないのです。

 イギリスにある大学の類人猿研究者たちが、ヒトが酒に惹かれる原因を解き明かしつつあります。

大型類人猿も「飲み会」をする最初の証拠か、
野生のチンパンジーが発酵した果物を仲間と分け合っていたことが判明
野生のチンパンジーが、自然に発酵したアフリカンブレッドフルーツ(Treculia africana)を繰り返し摂取し、グループ内で共有している瞬間を初めて記録した...
GIgazine 2025年04月22日

 チンパンジーたちがアルコールを含む果実を分け合って宴会に興じているとは、うれしい発見です。

 こうした宴会を催す理由として上げられているのが...

「アルコールを摂取するとストレスレベルが低下し、エンドルフィン系が活性化し、幸福感とリラックス感が得られるため、社会性と共有行動をさらに促進する可能性」(同記事より)

 まるで宴会好きなサラリーマンの言い訳のようですが、研究者たちの観察から野生のチンパンジーの集団にこうした効果がみられるとしています。

 アメリカの研究者はさらに踏み込んだ観察を報告しています。

野生のチンパンジーは1日に「ビール1杯分のアルコール」を摂取しているとの研究結果
「私たちは初めて、ヒトに最も近い現存する近縁種が、日常的に生理学的な意味を持つ量のアルコールを摂取している事実を確認しました。酔っぱらいの猿仮説はますます現実味を帯びつつあります」(カリフォルニア大学バークレー校の博士課程学生であるアレクセイ・マロ氏)
GIgazine 2025年10月04日

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 記事によると熟した果実から摂取するアルコール(エタノール)料は一日あたり約14グラム。これはアルコール濃度5%のビール一杯分を常習的に飲んでいるのと同じだそう。

 こうした研究にはその元となる仮説があり、マロ氏はそれが実証されたと唱えています。

今回の発見は、ダドリー氏が10年以上前に提唱した「drunken monkey hypothesis(酔っぱらいの猿仮説)」と一致します。酔っぱらいの猿仮説とは、「ヒト属の祖先が主要な食物源として熟した発酵果実に依存していたため、ヒトはアルコールを好む嗜好(しこう)を持つようになった」(上記事より)

 この仮説に従うと私たち人間は「酔っ払った類人猿の子孫」にすぎず、「酔っ払うまで呑むのは人類が進化の過程で身につけた本能に過ぎない」とも言えそうです。

 ただし、社会に迷惑をかけるまで酩酊していいとはチンパンジーたちも思ってはいないようですよ。(水田享介)

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