「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年11月12日
[1044]暴かれた!SNSと詐欺広告の親密な関係

 筆者はSNS活動はXとFacebook程度でありLINEはアカウントすら持たず、いわば「デジタル時流に乗り遅れているひとり」かもしれません。とはいえデジタル系ライター、IT技術者を長年務めてきましたので、アプリ内部の仕組みを理解すればいつでも使い始められるし、カスタマイズも可能です。

 ではなぜSNSに消極的なのか。その理由を昨年の8月に当コラムに執筆しています。

[911]Facebookの危ない広告に意見してみた
 Facebookはこのような詐欺広告の出稿者からも、高額の広告費を受け取っており、人的交流を行い友人を増やしましょうとその場所を提供しながら、実際には「詐欺犯に犯罪の場所を提供している」に過ぎない・・・。
(当コラム 2024年08月23日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2408/012649.html

 上記のコラムを執筆した時は、いちユーザーとして外部からFacebookを操作した感想を述べたに過ぎません。そのため「・・・ようです」、「・・・ではないでしょうか」、「・・・でしょう」といった控え目な憶測にとどまっていました。

 コラムを読んで「心配性の書き手が勝手に思っているだけだろう」と笑われた方もいらっしゃることでしょう。

 SNSとは
「オオカミ(詐欺犯罪者)から入場料(広告費)取って、羊小屋(SNS)に放つビジネスモデル」

 と筆者はつねづね思っています。しかし、確信を持って書くだけの自信は当時はありませんでした。

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※SNSで使われるアイコン

 先日、こうした筆者の疑念を裏付ける記事を見つけました。

Metaが収益の10%を詐欺広告から得ていたと判明
詐欺広告への対応をわざと遅らせていたのではないかという指摘も
Metaは内部で、規制当局による罰金を最大10億ドル(約1530億円)と予測していますが、別の文書では「法的リスクが高い詐欺広告」から得る収益が半年だけで35億ドル(約5360億円)に上ると試算しており、罰金額を大幅に上回ると見積もられていた・・・。
Gigazine 2025年11月07日

 いちいち答え合わせはしませんが、筆者が抱いていたいくつもの疑念がすべて正しかったことが上記の記事で明らかになっています。

 詳細は記事を読んでいただくとして、要点はこうです。

・Metaは違法広告から160億ドル(約2兆4500億円:2024年)の収益を上げた

・160億ドルはMetaの年間総収益の約10%にあたる

・Metaは詐欺疑いの高い広告主から、より高額の広告費として「ペナルティビッド(罰金入札)」課してさらに収益を高めている

・ユーザーから詐欺報告を受けたが、96%を無視、拒否していた(2023年)

・規制当局からの罰金は最大10億ドル(約1530億円)と予測
 一方で詐欺広告から半年で35億ドル(約5360億円)に上ると試算

 こうした事実はMetaの社内会議で確認し内部文書に残されていたとのこと。詐欺広告をユーザーに見せるだけで毎年2.5兆円を稼ぐのなら、経営陣はたとえ違法広告でも出稿を止めるのは難しいでしょうね。

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※安易なパスワード

 詐欺広告を出した罰金が10億ドルでも、半年で35億ドルを稼ぎ出すなら、罰金を払っても違法広告を続けるのは利(悪意の理)に適っています。

 しかし、この詐欺広告のせいでFacebookユーザーはその何倍、何十倍もの損害を受けていることは明白です。ユーザーへの配慮や思いやりは1ミリもないことがわかります。

 巨大企業に育ってしまったGAFAは、いまや中小国の国家予算を超える売り上げ、資産、人材を抱えています。彼らに規制の網をかけたり活動を抑制させることは、一カ国、いえ数カ国が集まったとしても太刀打ちできないでしょう。

 SNSの利便性は認めますが、そろそろデジタルコミュニケーション全体をおおうような規制の網を世界規模で用意する時期に来ていると筆者は考えます。(水田享介)

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