「できる!」ビジネスマンの雑学
2025年11月14日
[1045]お尻でひと息、尻呼吸。ヒトで成功

 今年、2025年のノーベル賞は、日本人研究者のお二人、北川進氏(化学賞)、坂口志文氏(生理学・医学賞)がダブル受賞されました。

ノーベル賞「日本のノーベル賞受賞者一覧」(京都大学)
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/history/honor/award-b/nobel

 ところで、ノーベル賞の対極にあるのが「イグ・ノーベル賞」と言われています。

 実は日本はイグ・ノーベル賞の受賞常連国(19年連続)です。今年もイグ・ノーベル賞を受賞した研究がありました。

 今年の受賞は「シマウシの研究」(生物学賞・2025年/兒嶋朋貴研究員)でした。

イグ・ノーベル受賞「ドッキリかと...」◆
牛を虫から守る「しま模様」、人間にも効果あり?
時事ドットコムニュース 2025年11月7日

 立派な牛がシマシマに刈り込まれた姿はシュールでもあり、多少かわいそうでもあります。

 過去の受賞に「バナナの皮はなぜ滑るのか」(物理学賞・2014年/馬渕清資教授)を物理学を総動員して解き明かしたユニークな研究もありました。

 イグ・ノーベル賞とは「あまり人の役には立たなそうだけど、着想のおもしろさや些細なことに真剣に取り組む姿勢」を評価するもので、そこに賞の価値がありました。

 ところが、昨年のイグ・ノーベルを受賞した研究が、それだけではないことを証明しつつあります。
 それが「多くの哺乳類が肛門呼吸できることの発見について」(武部貴則教授研究)です。

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※イメージ

ブタがお尻で呼吸 イグ・ノーベル賞を生んだ発想を磨く力
日経ビジネス電子版 2024年11月19日

 小学生の頃、理科の授業でドジョウがお尻を水面に出して呼吸している様子を観察した方も多いと思います。

 これが「お尻呼吸」ですが、ドジョウだけではなく哺乳類でも条件さえ整えばお尻呼吸が可能であることを証明した驚くべき研究なのです。

 この研究のすごいところは、豚を使った動物実験からさらに一歩進んで人体実験まで行い、着実に研究成果をあげていることです。

「お尻呼吸」が肺治療に革命か
イグ・ノーベル賞の研究者らが人での実験で安全性を確認
ブタの肛門に酸素を含む液体を注入すると、血中酸素濃度が高まることを突き止めた東京科学大学と大阪大学の武部貴則教授(38)らの研究グループは、・・・「腸換気法」の安全性をヒトで確認・・・。
産経新聞 2025年11月13日

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※イメージ

 従来はヒトは肺呼吸でしか酸素を得ることができず、呼吸機能や肺機能が失われることは死を意味していました。

 呼吸機能が未熟な新生児やエクモで救命措置されていた重症患者をこの尻呼吸でより安全に確実に救えることにつながると期待されています。
 将来的には宇宙空間での呼吸方法のひとつになるのではと言われています。

 イグ・ノーベル賞研究がノーベル賞に化けるかも。ユニークな研究が世界的研究につながるとしたら、研究の本質を見事に表すことになります。もしそうなったら楽しいですね。(水田享介)

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