コーヒー豆から淹れるコーヒーは、家庭やコンビニでもよく飲まれています。これがなければ一日が始まらないという方も多いことでしょう。
ところで、コーヒーを淹れた後のコーヒーかすはどうしていますか?ほとんどの場合、使い道のないゴミや可燃ゴミとして処分しているはずです。![]()
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ただ、富山県黒部市では勝手が違います。
なんと、そのまま台所シンクの排水口から下水に流すことが推奨されています。
なぜでしょうか?
黒部市ではコーヒーかすはバイオマス発電の材料となることに着目。下水からコーヒーかすを回収するシステムをメーカーの協力を得て、導入しているのです。
「コーヒーかすはそのまま下水へ流して」黒部市独自のバイオマス発電とリサイクルとは
<シリーズSDGsの実践者たち>【調査情報デジタル】
黒部市では全国の自治体で唯一、環境循環型の下水道バイオマスエネルギー利活用施設を所有していて、コーヒーかすを活用したバイオマス発電や下水汚泥のリサイクルを行っています(黒部市上下水道工務課の柳田英昭さんの説明)
(TBS NEWS DIG 2025年11月15日)
黒部市では下水道の汚泥処理が限界を超えたため、バイオマスエネルギー施設の設立を模索していました。
ちょうどそこにバイオマス発電を研究していた荏原製作所、近隣のコーヒー飲料メーカーと巡り会うことになり、コーヒーかすを材料としたメタン発酵システムが完成。
コーヒーかすはふつうの汚泥の約10倍ものメタンガスを発生させる優等生だったのです。
しかもガスを取り出した後の「コーヒーかすのカス」は、燃料として燃やしたり、野菜や植物を育てる肥料としてリサイクルできます。![]()
こうしたケースは、他の県でも取り組んでおり紙面で報じられています。
〝迷惑施設〟が経済価値生む産業集積拠点に、
佐賀市が世界初の事業で実現した舞台裏
佐賀市が二酸化炭素(CO2)を回収・利用するCCUを商用化し、清掃工場を70億円以上の経済価値を生み出す産業集積拠点に変えた。地域の脱炭素と経済成長を両立させるきっかけが、住民の反対運動だった。
(ニュースイッチ 2025年11月10日)
いままで厄介者として捨てたり埋めたりしていたものや、わざわざお金をかけて処分していたものが資源になり価値を生む。地道ですが夢のある技術だと思います。
ここにご紹介したリサイクル施設はいまはまだ業界初、世界初の技術ですが、いずれは世界中に広まってほしいですね。(水田享介)