昨年は街中でクマ出没が相次ぎました。2025年の「今年の漢字」には「熊」が選ばれたのは、誰もがその記憶に新しいところです。
なぜこうも、クマが人の居住域まで出歩くようになったのか。当コラムでは数年前からこの問題を紹介してきました。
2023年のコラムでは、その原因を書いた新聞記事を紹介しました。
[837]ついに東京都にクマ出没。どうする、秋の行楽
今年(2023年)は秋と呼べる季節はなく、夏から一気に冬になるのではと言われています。
この影響からか「実りの秋」の期間は短く、クマのエサとなるドングリなどが不作に。クマは個体数の増えたこともあって食糧難に陥り、空腹を満たそうと人家に近づいているのではとのこと。
(当コラム 2023年10月23日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2310/012428.html
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当時の新聞では食糧不足が熊が出没する原因であり、特にドングリの不作によるものと報じています。これを受けて、ある動物保護団体は大量のドングリを山に投入するといった極端な活動まで起こりました。
それ以外にも、狩猟ハンターの高齢化、ハンター人口の減少で、クマを駆除する存在がいなくなり、クマは増える一方になったとか。ツキノワグマの生息数では、倍近くまで増えたとも言われています。
しかし、本当の原因は別の所にあるという見解がこのたび発表されました。
これは16年もの歳月をかけて約650頭のツキノワグマの栄養状態を調査した結果でした。調査方法は
「ツキノワグマの複数箇所の体内脂肪量の季節変動や脂肪量と秋の主要な食物であるブナ科樹木の果実の結実豊凶との関係を分析」
するという極めて実証的手法によるものです。
熊の人里出没、ドングリ不作影響せず? 要因は果実か
ドングリが不作の年に人里へ出没した多くの熊の栄養状態は悪くなく、出没の主な要因は体内の脂肪蓄積量の低下という生理的な栄養状態の悪化ではない。熊が人の生活圏内に出没するのは、人里の果実・・・。
(日本農業新聞 2026年1月15日)
この調査により、クマは食糧が不足していたわけでなく、栄養状態が良いのに人里に降りてきていたことが証明されました。
クマにとって人里の魅力とは...「人里の果実など目の前の魅力的な食物資源の存在が大きな要因である可能性が示唆された」(上記記事より引用)とのこと。
つまり、クマだっておいしいものを食べたい。グルメのクマが増えたから?という結論のようです。
筆者の経験でも、自転車のカゴに入れた「ガムシロップ」をカラスに奪われたことがあります。恐らく、犯人のカラスはゴミから盗み食いしたガムシロップの甘さに衝撃を受け、もう一度あの味を味わいたくなったに違いありません。
カラスとはいえ、ガムシロップのパッケージデザインを覚えていたのでしょう。ポリ袋の中からガムシロップの袋だけを咥えると、あっと言う間に飛び去ってしまいました。
クマの好物はわかりませんが、みかんや柿、栗、ぶどう,はちみつなど甘味が多いようです。
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※AI画像
これ以上クマを寄せ付けないためには、「果実を放置しない」、「管理されなくなった果樹の木は伐採する」など地道な活動が必要といえるでしょう。
今年も雪解けとともに、クマが活動を始めると、再びクマ被害が始まるかもしれません。
クマとの接触は避けつつ適度な距離を維持して、心穏やかに暮らしたいものですね。(水田享介)