「できる!」ビジネスマンの雑学
2026年03月02日
[1084]国産ラピスラズリ、糸魚川で史上初の発見

 「ラピスラズリ」と聞いて何のことかわかる方はそう多くはないでしょう。そもそもどんなものか、何の役に立つのか知らない方がほとんどかもしれません。

 ではこう言えばいいでしょうか。「ツタンカーメン王の黄金のマスク」の頭部にデザインされた金と青の縞模様やブルーのアイライン。

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※:「MYSTERY OF TUTANKHAMEN/ミステリー・オブ・ツタンカーメン~体感型古代エジプト展~」より
公式ホームページ:https://tutankhamen.jp/


 「真珠の耳飾りの少女」「牛乳を注ぐ女」の鮮烈な青い衣装のフェルメール・ブルー。ゴッホが好んで描いた「夜のカフェ」やいくつもの夜空の風景...。
 これらはいずれもラピスラズリという青い石が顔料として使われています。

 絵画においては古くから青色の顔料として用いられ、別名「ウルトラマリン」という絵の具の主成分です。
 ラピスラズリは自然界に存在する岩石ですが産出地は限られており、フェルメールが活躍した17世紀には金よりもはるかに高価だったそうです。

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※ヨハネス・フェルメール 《真珠の耳飾りの少女》 1665年頃 c Mauritshuis, The Hague
大阪中之島美術館(フェルメール展・2026年8月21日~9月27日)
展覧会公式サイト: https://vermeer2026.exhibit.jp/

 もちろん19世紀末のゴッホの時代でも貴重な顔料であったことに間違いありません。

 そのラピスラズリが糸魚川市内で発見されました。日本の土壌からラピスラズリが見つかるのは初めてのことです。

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※糸魚川産ラピスラズリ。断面を研磨(上)、外観(下)。

青色の岩石「ラピスラズリ」、糸魚川市で発見
国立科学博物館が発表 「国内での産出確認は初」
 今回見つかったラピスラズリは、2人の人物が長年趣味として収集してきた地元の岩石(主に翡翠)の中に含まれていた。
ITmedia 2026年02月27日

「日本産ラピスラズリ 糸魚川市内で発見」
その中に青い石があったため、国立科学博物館において化学組成分析とX線解析を行ったところ、ラピスラズリであることが判明...。
国立科学博物館 令和8年2月27日
https://www.kahaku.go.jp/news/albums/abm.php?d=4109&f=abm00019708.pdf&n=20260227_press.pdf

 この記事でわかったことは、糸魚川周辺の海岸には古くから青い石が採取されていた。しかしラピスラズリがあまりに希少だったため、日本でラピスラズリは存在しないとの思い込みから、ただの青い石としてだけ認識されていた。今後は高度な鑑定眼さえあれば、日本産ラピスラズリが見つかる可能性がある、ということです。

 筆者が学生時代に油絵を描いていた頃、仲間に海を描く人はあまりいなかったと記憶します。それは画材店で絵の具売り場を見ればすぐにわかります。青の棚に豊富な種類の青がありますが、いずれも高価なものばかり。
 そのなかにラピスラズリもあったと思います。

 こんな高い絵の具でキャンバスいっぱいを青く染めるにはいったいいくらかかるだろう。画題を決めるのもお金が必要です。お金がない学生にすばらしい発色の青い絵の具を使うことはできなかったのです。

 高名な日本画家が描く、金箔の地に清冽な青い富士の絵と背後に鮮やかな深紅の日の出...。こういう構図を見ただけで、筆者はプロの資金力に圧倒されていました。

 いつの日か、糸魚川産のウルトラマリン絵の具が安価で売り出され、画学生たちが壁一杯に青い海が描けることを願ってやみません。(水田享介)

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