戦闘機「紫電改」は旧日本海軍が運用していた大戦末期の傑作機です。二千馬力級エンジン「誉」を搭載し、日本本土に押し寄せる米軍機と伍して戦い数々の戦績をあげています。
1945年4月21日の朝、出水上空でB-29の11機編隊と交戦の末、被弾した紫電改(林喜重隊長機)は鹿児島県阿久根市の沖合、300メートルに不時着水、そのまま海没しました。その後、2024年に発見されるまで80年にわたる長い眠りにつきました。
「紫電改」米軍と死闘演じ力尽きた...
鹿児島県沖の海に眠る「林大尉機」を戦争遺産に、全国に広がる支援の輪
(読売新聞オンライン 2025年4月2日)
B-29は「超空の要塞:Superfortress」とも称され、一機当たり13挺の機関銃を搭載していました。11機編隊では143挺となり、片や「紫電改」は1機当たり4挺。どうみても分の悪い戦いでした。
さほど大きな機体ではなく、海没してしまえば海の藻屑と消えてしまう運命にありました。
しかし、2024年に海底調査を試みた所、奇跡的にその機体が砂に埋もれて残っていたのです。
海底に眠る「紫電改」を保存しようと立ち上がったNPOの方々により、ついに2026年4月8日に引き揚げることになりました。
旧日本海軍の戦闘機「紫電改」引き揚げ前に安全祈願祭 阿久根
紫電改は81年にわたって海に沈んでいますが、これまでの調査で、砂に埋もれていた両翼が当時の形状をほぼ保っているほか特徴である20ミリ機銃も確認...。
(NHK ONE 2026年3月31日)
この「紫電改」は、実用化が1944年末ということもあり、400機ほどしか製造されていません。日本国内に保存されている実機は一機のみ。
筆者は愛媛県南部にあるその一機を訪ねています。
[840]愛媛・愛南町の「紫電改」に新しい展示館
1945年7月24日、この紫電改は長崎県にあった大村基地を飛び立ち、米軍艦載機との激戦(一説には敵機二百機対十六機という)の末、この近くの海に不時着水しました。この愛南町に機体があることには大きな意味...。
(当コラム 2023年11月06日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2311/012436.html![]()
※愛媛県愛南町に残る「紫電改」
愛南町のこの機体は後日、2025年に「重要航空遺産」に認定されました。また、新展示館への移設費用としてクラウトファンディングを2025年7月1日にスタート。1000万円から始めて、3800万円、5700万円と目標を再設定した所、8000万円を上回る金額が集まったそうです。
訪れる人の少ない展示館とコラムで書きましたが、多くの方がこころを寄せている「紫電改」であり展示館であることを知りました。
今週引き揚げられる「紫電改」がたとえ機体の一部であっても、貴重な戦争遺産として大切に保存していただきたいですね。(水田享介)
-------------
◆関連リンク
NPO法人 北薩の戦争遺産を後世に遺す会
【公式サイト】(潜水調査の動画あり)
https://shidenkai-preservation-society.com/shidenkai/