21世紀を迎えてはや四半世紀を過ぎた2026年、農水省は日本の農業を「AIやIoTを活用した【スマート農業】」へ移行しようと動いています。
一方で、違った視点から農業を見ている人や企業があります。作物の定番である米やトマト、イチゴといった売れ筋の品種にとらわれず、新たな農産物で収益化にチャレンジしているのです。
先日は南高梅のふる里、なんぶ町の新たな取り組み「マカダミアナッツ栽培」をご紹介しました。
[1097]南高梅の産地で新たなチャレンジ
このマカダミアナッツは梅畑と同じ乾燥した畑を好み、落ちた実を拾う収穫方法まで梅と一緒。梅の収穫に使っていた農具もそのまま流用できました。
また、殻の固いマカダミアは獣害や鳥害もないなど、思いのほか栽培しやすい作物...。
(当コラム 2026年04月03日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2604/013006.html
放置された梅畑がそのままマカダミアナッツ畑に転用でき、農具も流用できるならやらない手はありません。
変える必要があったのは「この土地で何を作るのか。高齢者は作れる物は何か」という発想の転換でした。
今回ご紹介する農業はなんぶ町のような転作とは少し事情が異なります。
なぜ?創業137年の老舗仏壇店が完全異業種「コーヒー」栽培に挑戦...
社長「ムーブメントは起こっています」【岡山】
岡山県倉敷市の老舗企業がコーヒー栽培への挑戦を始めました。それもコーヒーとは無縁の意外な業種なのです。なぜ始めたのでしょうか?
(RSK山陽放送 2026年4月12日)
岡山県と言えば、県全体が南向きで瀬戸内海に面した温暖な地。しかも台風や集中豪雨も少ないという好条件。これまでもモモ、シャインマスカット、バナナ栽培などで「フルーツ王国の異名」をほしいままにするのが岡山県です。なぜ、「コーヒーベルト」地帯でもない岡山でコーヒー栽培?![]()
※黄色い地帯がコーヒーが育つ「コーヒーベルト」
実は、コーヒー生産の北限と言われていたベトナム北部から中国南部の雲南、台湾でもコーヒー豆の生産が軌道に乗り始めています。
一方で、コーヒー生産大国のブラジルはここ数年は大不作でした。また、生産量第2位のベトナムでは収益性の高いドリアンに転作が進み、このままではコーヒー畑の減少は避けられない見通しとのこと。
現在のコーヒー主要産地で供給が足りていないため、ここ数年はコーヒー豆の価格は上がる一方です。
ブラジル干ばつ・世界的需要増・円安...
コーヒー豆急騰に苦しむ販売店の奮闘
気候変動で栽培適地が減るとされる「コーヒーの2050年問題」もあり、「将来コーヒーが飲めなくなるのか」と顧客から心配される...。
(読売新聞オンライン 2025年3月3日)
2026年もコーヒー価格は上がり続けていますから、今年も「コーヒーの2026年問題」は残り続けるようです。
こうした現状から日本でもコーヒー豆の生産に手を付ける企業が現れるのは不思議ではないでしょう。
上記記事の岡山県倉敷市のコーヒー経営者は農業従事者ではなく仏具店であり、民間企業です。長期にわたりそれなりの投資をして、計画的な収益化計画をもった事業として展開が期待されます。
とはいえ、「コーヒーベルト」から外れた日本でコーヒー栽培は成り立つのでしょうか。![]()
※コーヒーの実。コーヒーチェリー
なぜ群馬でコーヒーが育つのか?ハウス栽培成功の秘訣とは
群馬県藤岡市にある「藤岡コーヒーハウス農園」では333本のコーヒーの木が植えられている。
(マイナビ農業 2025年05月08日)
ガスなどの燃料系商社のミツウロコグループが、大規模なコーヒー生産を手掛けることにその本気度をうかがい知ることができます。
実は「コーヒーベルトは露地栽培を前提にしているから成り立つ」とも言えます。日本の高度なハウス栽培技術があれば、コーヒーベルトに負けない収益性を上げられるかもしれません。前出の倉敷市も上記記事の群馬県藤岡市も、どちらもIT技術を駆使したハウス栽培で着実に成果を上げ始めています。
かつては垂涎の的だったバナナ、マンゴー、パパイヤ...。南国果実のほとんどはいまや日本産が目立ってきました。もちろんいまだそれなりに高価です。それでも安定供給と消費のバランスが取れれば、いつでも食卓に上がるフルーツになることでしょう。
コーヒーに至っては、もはや嗜好品とは言えず、日常生活に欠かせない飲料品です。一日も早く国産コーヒーを楽しめる日が来ることを願ってやみませんね。(水田享介)
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