住宅地に入り込んで人を襲うクマ問題。今年(2026年)は秋田県全域、盛岡市、宇都宮市など本州のほとんどの地域ででクマ被害が発生して、ニュースになっています。
2026年6月 国内クマ出没事案の月次総括レポート
都市部や住宅地への出没が全国的に見られる背景には、山間部の餌資源の状況に加え、一度人里の味(生ごみや果樹など)を覚えた個体が定着・学習...。また、都市部と山林をつなぐ河川敷や緑地帯が、クマの移動経路(コリドー)として機能している可能性...。
(くまウォッチ・月次レポート 2026年7月1日)
クマ被害は全国に広がっており「玄関を開けたらクマがいるかも」という恐れは誇張ではなく誰にでも起こりうる日常になりつつあります。
いまだクマ被害のない東京区内や千葉県で暮らす人々には実感はわかないでしょうが、東京都ではこれまでの消極的な対策に転換が求められています。
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※クマ啓発チラシより(東京都環境局 多摩環境事務所)
当コラムの「[1036]東京都にクマ出没でも駆除は禁止。なぜ!?」(2025年10月22日)
https://www.asuka-g.co.jp/column/2510/012883.html
でお伝えした通り、
「ツキノワグマは絶滅危惧種にあたるため、東京都では狩猟による捕獲や駆除は禁止されています。」
東京都環境局のサイトでは現在もクマの狩猟を禁止すると明記しています。
「東京のツキノワグマ
狩猟の禁止について
東京都ではツキノワグマの保護のため、平成20年4月1日から狩猟による捕獲等を禁止しています。
区域:八王子市、青梅市、あきる野市、日の出町、檜原村及び奥多摩町
期間:令和9年3月31日まで」
(東京都公式サイト・環境局)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/bear/tokyos
この法令がある限り、東京都内でクマ被害が発生しても、東北その他の地区のような、銃などによる駆除はできないことになります。
(※もちろん緊急時には例外はあるかも知れません)
この問題をコラムで書いてから半年余り。ようやく東京都が動き出したようです。
新聞報道によると「ツキノワグマ猟を解禁」するようです。
東京都がツキノワグマ猟を20年ぶり解禁へ...
出没相次ぎ負傷者も発生、「保護」から「抑制」に転換
東京都は来年度から、ツキノワグマの狩猟をおよそ20年ぶりに解禁する方針を固めた。昨秋から市街地付近での出没が相次ぎ、負傷者も出たことを受けて「保護」から「抑制」へと転換...。
(読売新聞オンライン 2026年6月16日)
これまで東京都では「ゾーニング」として人とクマのすみ分けでクマ被害を起こさせない方針でした。今年5月から始まった奥多摩地域など首都圏の登山道の閉鎖もそうした方針に従ってのこと。
しかし、クマが人の住むゾーンに侵入してきている今、ゾーニングの効果はもう期待できなくなりました。
今年のクマの活動について書いた雑誌では、クマは首都圏をぐるりと囲む「圏央道」を越えて都心に向かいつつあることを紹介しています。
殺人グマが"絶対防衛ライン"圏央道を突破、
ついに東京襲来か...背筋も凍る奥多摩はいま【現地を徹底取材】
(週刊現代 2026年6月30日)
刺激的なタイトルですが、2名もの人的被害があったのは紛れもない事実です。
ただ、クマは圏央道を意識したり、自動車道を使って行き来しているわけではありません。多くの場合は、森林伝い、河川敷や公園などの身を隠せる茂みを利用して移動していることがわかっています。
そのため、高尾山、八王子、相模湖付近に出没しているクマは、いずれ多摩川等の河川沿いを伝って、都市部に現れる日も近いと考えられます。
東京都がクマ猟を解禁するのは来年度とのことです。銃を使った駆除が行えるのは早くても2027年の4月からでしょう。一年足らずでクマ猟ができる狩猟スタッフをどれだけ育成できるかという課題も残っています。20年という長い期間、クマ狩猟を禁止してきた影響は大きいようです。
法律を変えることで対策ができたと満足することのないよう願うばかりです。(水田享介)