検索で調べると日本国内には現在のところ、97の空港があると出てきます。この狭い日本列島に百近い空港があるなんて、多すぎると思う人もいるでしょう。
その一方で空港を持たない地方自治体が10府県もある事実は知られていません。その内訳は関東北部の栃木、群馬、埼玉の3県。東京に近い神奈川、山梨。関西圏では岐阜、三重、滋賀、京都、奈良となります。
戦前の軍事に詳しい方ならすぐに気がつくでしょう。マッカーサーが降り立った空港は厚木基地で神奈川県。零戦が初飛行したのは各務原(かがみはら)基地で岐阜県でした。もうひとつ言えば、戦時中に貴重な機体を首都から疎開させた先は甲府飛行場で山梨県。
どうやら「日本の空港は97カ所」という数字は民間使用、定期便運行などの条件からはじき出されたようです。「空港なし府県」と十把一絡げにしていては日本の歴史や航空史は成り立ちません。![]()
このたび富山県は富山空港の愛称を変更しました。
☆「富山きときと空港」⇒「富山高山すし空港」☆
「富山きときと空港」から「富山高山すし空港」へ新愛称を発表
変更に賛否 意外と近くない「富山と高山」
インバウンド需要の取り込みを狙い、人気観光地の飛騨高山と富山の寿司を組み合わせた名称だが、県民からは違和感やアクセス面を疑問視する声も上がっている。県は利用者増加につなげたい考えだ。
(FNNプライムオンライン 2026年7月9日)![]()
富山県の空港なのに「愛称に入れた高山は岐阜県」。山奥に位置する高山でサカナはとれないのに「すし」。
繰り返しとなりますが「岐阜県に空港はありません」。
幾重にも重なる二律背反をワンワードにしたような「富山高山すし空港」ですが、富山県としてはイチ押ししています。
前出記事によると、富山駅から高山へは特急列車で1時間半かかるそうです。記事では「富山空港から高山は意外と遠い」、「アクセスは必ずしもいいとは言えない」、「高山が(富山から)近いと勘違いする」などとさんざんな言われようです。
高山へのアクセスが便利なのは名古屋からのようですが、実は名古屋駅から高山へは特急列車で2時間半かかるそうです。富山駅からは1時間も早く着きます。
だとすれば、北陸ルートから高山へという富山県の提案も理解できます。
あとは、富山空港から直接高山へ向かえばもっと時間短縮できそうですが、富山県を素通りすることになり、アクセスルートをどう整備するかはまだ検討中のようです。
同様の悩みは他県でも起きています。佐賀空港は九州では後発の空港ですが、上海にも近いこともあり、中国のLCC路線を誘致するなど海外観光客の利用は増加傾向にあります。しかし、観光施設の充実した福岡県や長崎県への通過地に留まっており、佐賀県にお金が落ちないというジレンマがあります。長崎までの新幹線ルート問題もあります。素通りは許せない。ではなぜ素通りされてしまうのか。観光したくなる場所がないからです。
観光資源がないから客が来ない。それならその資源を作るしかありません。いま、佐賀県は県内に残る江戸時代、明治維新の歴史を紐解いて汗をかいている最中です。
富山県が佐賀県と同じ問題に陥るかは今のところは未知数です。世界的に知られる高山というブランドに頼ることなく、富山県独自の観光資源の開発が求められるでしょう。(水田享介)