「できる!」ビジネスマンの雑学
2026年09月09日
[1161]江戸庶民のお鷹場暮らし。立川市図書館で講演会

 東京西部には江戸由来の次のような地名が数多く残されています。

 「三鷹、鷹の台、大鷹の杜、お鷹の道、鷹の巣山、お鷹山」

 「鷹の字」だらけ。なぜでしょうか。

 それは東京多摩地区全体が、江戸時代は広大な鷹狩り用の「鷹場(たかば)」だったからに他なりません。

 古くは徳川家康が鷹狩りを楽しんだことに始まり、「生類憐れみの令」で一時中断した以外、明治維新で廃止されるまで、脈々とこの鷹狩りは引き継がれてきました。

 立川市図書館では、2026年10月31日(土)に以下の要領で江戸時代の鷹狩りについての講演会を催します。

《第21回たちかわ読書ウィーク講演会 江戸学講演会》

「古文書で読み解く江戸の鷹狩り」
~立川周辺は尾張藩の鷹場だった~
【日時】2026年10月31日(土)午後1時~4時
【開場】午後0時30分
【場所】女性総合センター第3学習室
   (ファーレ立川センタースクエア5階 立川市曙町2-36-2)
【講師】山崎久登(徳川林政史研究所 特任研究員)
【申込方法】立川市図書館ホームページ(トップページにあるイベント・タブ)でのみ受付中
 ※QRコードからアクセス
 https://www.library.tachikawa.tokyo.jp/index?1

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※申込はチラシを参照

 徳川幕府将軍とそれに連なる御三家のひとつ、尾張徳川の大大名が年中行事としていた鷹狩りですから、これ以上の絶対権威は当時ありませんでした。

 しかも、三鷹から立川、埼玉県南部一帯は、幕府直轄地であると同時に尾張藩の鷹専門役人の二重支配を受けていました。

 幕府役人からは税を取られ、尾張藩鷹役人からは厳しく生活を見張られていたのです。

 鷹場の中で暮らす庶民はどんな制約があったのでしょう。筆者は「小平市史」を繙(ひもと)いてみました

【鷹場暮らしで守ることリスト】
 ・小鳥、兎、猪、鹿の殺生禁止
 ・川での殺生は禁止
 ・犬猫は常時つないでおく
 ・案山子(かかし)は基本禁止。事前申告必要
 ・鳥の飼育は禁止。雛が落ちていたら申し出る
 ・大声、花火、物音を立てることの禁止
 ・祭りでの集会は事前に申告
 ・鷹狩りの道筋、脇道は入念に普請する
 ・冬の間、田に水入れ禁止
 ・家の新築、水車の稼働は事前に申告して鳥の居つきを邪魔しない
 (「鷹場法度」より要約)

「鷹場法度」
鷹場村々は、治安・秩序の維持のために、さまざまな規制と負担を負っていたのである。
「小平市史」近世編・鷹場法度より
https://adeac.jp/kodaira-lib/text-list/d100020/ht002260

「鷹場支配」
 鷹場は、領主が鷹を放って狩猟する場所である。関東に入部した徳川家康が、しばしば鷹狩に出かけたことはよく知られている。それは単なる遊猟が目的ではなく、鷹狩に託して領内の民情や敵地の情勢を探ったのだといわれている(『目黒区史』)。
「昭島市史」近世封建社会・領主の農民支配
https://adeac.jp/akishima-arch/text-list/d400030/ht070420

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※尾張藩の鷹場(伊藤好一「御鷹場と村」『大和町史研究』より転載)

 要は領民に対して以下の項目を遵守させたかったのでしょう。

1)鷹狩りの獲物となる兎や小鳥が鷹場に豊富に生息させておくこと
2)鷹の日常のエサを不足させないこと
3)訓練に来た鷹を驚かせたり邪魔をしてはいけない

 そのため役人たちは鷹場内に暮らす農民に「大声で人を呼ぶな、縄で地面を叩くな、手を叩くな」など理不尽とも思える生活規律を求めたのです。

 鷹役人の仕事は、まるで小学校の生活委員か規則委員のようにもみえます。

 極めつけは使役のひとつ。「鷹や小鳥のエサの虫(オケラ・ミミズ)は生きたまま納品しなさい」。ついでに「よく鳴く松虫・鈴虫も。夏はホタルも」とその要求はしだいに過酷になっていきます。

 農民の本業は農産物の増産のはずなですから、害虫ともなる昆虫集めは苦行だったはずです。江戸城内の楽しみのためとなればその理不尽さはなおさら。飼育のきかない虫はすぐに取り尽くし、遠くの村まで虫取りにいくこともあったそうです。

 当時の絶対的権威者、支配階級トップの将軍や大名に、虫を捕らせるわけにはいかなかったのは理解できますが...。

 多摩地区は将軍や大名のため、鷹のための「巨大レジャーランド」として270年もの間、存続したことがわかる逸話です。

 筆者が多摩地区の市史を調べてこれだけの資料がでてきました。講演会ではどんな話が飛び出すのか。今から楽しみですね。(水田享介)

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