10月16日のきょうは「辞書の日」です。アメリカ合衆国の辞書製作者、ノア・ウェブスター(Noah Webster、1758~1843年)の誕生日がこの日であることから定められました。
ウェブスターと聞いただけで「ははぁ、あの辞書か」と気付く人もいるでしょう。英語を学んだ人なら一度は手にしたであろう、分厚くて重い英語辞書『ウェブスター』のことです。それを編纂した張本人が、辞書と同じ名前のウェブスター氏・・・。いえ、ウェブスター氏が編んだ辞書だからウェブスター辞書ですね。
筆者は学生時代に大学寮にいた関係で、一年生の秋に卒業間近の四年生から英語の辞書を買わないかと持ちかけられました。
辞書の厚さは10センチ近くあり、とても頑丈な革装本。何の役に立つのか一瞬怯(ひる)みました。しかし深く考えると断るほかないので「いいですよ」とお金を渡して手に入れました。
それが「ウェブスター辞書」でした。雨に濡れた過去があるのか少し波打っていました。
手に入れたあとで、膝に載せてみると足がしびれ、拷問のような重さ。しかもサイズはA4判かそれ以上。中を開くと全ページ英語だらけ。英英辞典ですから当然ですが、英文科の学生でもない筆者には辞書スペックが高すぎました。
この辞書は英単語を調べ始めると、新たにわからない英単語が増えるという特別な造りのため、数回使っただけで本棚の肥やしになりました。
筆者の想像ですが、どうやらウェブスター氏は日本語が苦手だったようですね。![]()
※1970年代の革装本のウェブスター辞書(筆者の記憶を元にAI生成)
ウェブスター辞書について
学ぶ新しい英語(4)【世界が変わる異文化理解レッスン 基礎編33】
(サライ 2019/12/5)
良くしたもので翌年の春、入寮してきた新入生にそれを欲しがる秀才が現れました。ウェブスター氏は私に愛想を尽かしたのか、そそくさと去って行きました。
大学を卒業すると、もう辞書と付き合うことはなかろうとホッとしたのもつかの間。コピーライター業を始めると、ネーミングの仕事が次々と舞い込んで、新語、造語などに頭をひねることに。
改めて自分の語彙の少なさに気がつき、ドイツ語、フランス語、インドネシア語など手当たり次第に辞書を買い込んでは、総当たりで語感のよさげな単語をピックアップしていました。
21世紀の今日は、検索するだけでどんな単語もその意味も使い方もわかります。AI検索になってからはおせっかいなまでに教えてきます。もう辞書の時代ではなくなったのでしょうか。
しかし、誰が調べたのかという証拠はなく、原典に当たることもせずAIが寄せ集めた解説は信頼できるのでしょうか。
実はAIというプログラムは調べてもわからない時は、語源や使い方を勝手にでっちあげ、さらにはその歴史や有名な作家の文例までも生成してきます。すべてがうそなのですが、それがばれると今度はハルシネーションだからと弁明してきます。そんな危ういモノに言葉が支配される、実に心もとない時代になったものです。
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ところで、10月16といえばもうひとつ、意外な記念日があるのをご存じでしょうか。
本日、10月16日は、あの「マリー・アントワネット」の命日です。
「パンが無ければ、お菓子を食べればいいじゃない」
この言葉で有名なフランス王妃とよく言われますが、この言葉は後世の創作です。とんだ濡れ衣ですね。
日本ではパリ祭ともいう「フランス革命記念日」は、バスティーユ牢獄襲撃事件(1789年7月14日)を記念して制定されました。王妃の命日が10月16日ですから、革命が起きてからわずか3ヶ月という短い間に運命が決しました。
フランス革命のとばっちりを受けたマリー・アントワネット。これ以上の説明は不要でしょう。![]()
興味の湧いた方は、横浜美術館で開催中の「マリー・アントワネット・スタイル」へ足をお運びください。本日を王妃の命日にしたあの道具(※伝承)も展示してあるようです。
合掌。(水田享介)
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「マリー・アントワネット・スタイル」
開催場所:横浜美術館
開催期間:2026年8月1日(土)~11月23日(月・祝)
詳細は公式サイトへ:
公式サイト:https://www.marie2026.jp/