日本で最初に誕生した近代的な私立大学といえば、慶應義塾大学(東京都港区)で、1858年(安政5年)に誕生しました。創立者はかつて一万円札の肖像画で知られる福沢諭吉です。
その慶應大学ですが、このたび国宝を購入していたことが判明しました。
国宝発見のきっかけは東京・神保町の古書店
価値を見抜いた慶應大教授の眼
2026年3月、慶應義塾大学三田メディアセンター(慶應義塾図書館)が所蔵する典籍『論語疏(ろんごそ)巻第六』が国宝に指定されました。孔子と弟子たちの問答を収録した『論語』の注釈書を、6世紀頃に書き写したものです。
(朝日新聞・Thinkキャンパス 2026年10月18日)
孔子と言えば、春秋戦国時代の終わり頃、紀元前6世紀~前5世紀の思想家で、「仁、義、礼...などの徳目を大切にする儒教」を広めた人です。その言葉は『論語』などにまとめられ、今なお日本社会にある共通精神のひとつとして残されています。![]()
※孔子を想像した似顔絵
その『論語』を後世にわかりやすく読み解いたのが、今回、国宝指定を受けた『論語疏(ろんごそ)巻第六』です。
日本にも古い時代に日本書紀や古事記があったという方もいるでしょう。しかし、その編纂時期は712年、720年の8世紀初頭です。しかも、原本はとうに失われています。
『論語疏(ろんごそ)巻第六』がすごいのは写筆本とはいえ、写筆時期が6世紀でかつ、紙の経典がそのまま現代にまで残っていることです。日本書紀成立より100~200年ほど前の経典です。
この経典は遣隋使、遣唐使の手によって渡来したと推定されています。日本に来てからは古代の藤原氏の所蔵を経て江戸時代は朝廷(天皇家)の管理下にあったとのこと。(※慶應大学の解説を要約)
「慶應義塾大学メディアセンターデジタルコレクション」
https://dcollections.lib.keio.ac.jp/ja/rongoso
慶應大学がこの経典を入手したのは2017年。2025年に重要文化財指定、2026年3月に国宝指定されています。
慶應大学の研究者はこの経典が国宝級の価値があることを早くから着目していたわけで、その着眼のすごさが光ります。
以下のサイトにて実物の画像を閲覧できます。
論語疏巻第六(ろんごそかんだいろく)
(慶應義塾大学メディアセンター デジタルコレクション)
https://dcollections.lib.keio.ac.jp/ja/rongoso/132x-205-1-1
この経典の一般公開は、今年6月に行われ終了しています。このたび再び注目を集めたことで、再度の公開があるかも知れません。![]()
※一般公開時のチラシ
慶應義塾図書館(三田メディアセンター)に注目して、その日を待ちましょう。(水田享介)