普通の本屋を続けるために
2023年05月10日
第5回・「問い合わせ対応」 と「売り場整理」

ここでは、問い合わせ対応と売場整理のマニュアルについてお話をします。


【問い合わせマニュアル】

「うち、問い合わせが多いんです」
「問い合わせで作業の手が止められてしまうんです」
「問い合わせ対応に自信がないです」

と、お店に行くとよく聞いてきました。
マニュアル作成の契機になったのは、あるリニューアルした店舗で起こっていた問題
でした。

新人さんの問い合わせのエスカレーション
(Aさんが問い合わせを受けたが答えられ
ない、対応できないのでBさんに聞く。Bさんもわからないので、Cさんに聞く......と
いう巻き込み型の対応のこと)
によって、ベテランスタッフさんの品出し作業が頻繁に中断される、という事象が発生していました。

そこでトレーニングして生産性を上げるために、作業標準をつくりました。


※問い合わせ対応を標準化する目的
・問い合わせ対応のノウハウを学びトレーニングすることによって、かける時間を最
速化します
・お客様をお待たせする時間を最少化することによって売上につなげます


マニュアルの一部をご紹介します。

①お客様からの情報は必ずメモをとる
②お客様が何を求めているかを理解する 
・「場所」なのか、「商品」なのか、「注文」ができるかどうか
③問い合わせ内容を理解して質問をする
・「場所」を聞かれた際は、お探しの商品があるかどうかを質問する
→ 場所までご案内した後になって「これを探している」と知ることがないように
する(二度手間をなくす) 
・「商品」を聞かれた際は、商品タイトルだけではなく、著者や出版社名も質問する。雑誌は内容、コミックは巻数も質問する
→ お客様の知りうる情報を最初にもらうことで、検索のヒット率を上げる、情報
があいまいな場合(友人から勧められた、テレビでやっていた等)も想定する
④お客様対応は、原則1人で対応する
⑤お客様の前から離れる時は、必ず声をかける
⑥専門用語や難しい言葉の使用は避ける

皆さんも、同じようなことを無意識にやっているのではないでしょうか。
さらにベテランスタッフさんは以下のようなポイントで問い合わせ対応を行っていま
した。

・検索の際は単語で区切り、かつカタカナで入力する
→ てにをは、が違うだけでヒットしないため、ヒット率を各段に上げる
・冊数を必ず確認する
→ 冊数から展開場所の推測をする、例えば1冊なら棚から、5冊なら平台から探
し始める
・出版社、表紙を確認する
→ 棚を探すときに、出版社のマークで探す

同じく、いたって普通のことを書きましたが、問い合わせ対応のフローを理解したり、ノウハウを知って行動することで生産性は上がっていきます。
迅速な対応、誠実な対応は売上に結びつきます。


【メンテナンスは気づきの量】

「とりあえずメンテナンスしておいて~」
という言葉を、新人さんや特別に作業指示することがなかった場合によく使っていま
した。
皆さんも思い当たる節はありませんか?

さらにこんな経験もありませんか?
例えば、売場整理の作業指示を出して終わった後に確認してみると
「コレやったの??」
と思うことが。

きっとその時、指示を出された側は
「ちゃんと指示通りやりましたけど......」
となっているはずです。
このギャップを埋めるためにメンテナンスマニュアルを作成しました。

その過程で気づきました!
「気づきの量」が違うために先ほどのようなギャップが発生しているのです。
仮に指示を出す側が
「目の前の1スパンに整理すべきところはざっと28か所はある」
と捉えていたとすると、指示される側は
「目の前の1スパンに整理すべきところはざっと8か所ある」
と思っていることがあります。
この間には、埋めがたい「20か所」があります。

メンテナンスマニュアルは
・「どのような」状態になっている商品を整理するのか
・「どのように」整理すればよいのか
を画像と説明文で説明したマニュアルで、さらにはじめて動画マニュアルも作成しま
した。

「『このような』状態になっている商品を整理する場合は『このように』整理すればよい」
ということを伝えることによって、
整理すべき箇所への気づきが増え、売場整理の精度が上げられます。

また、マニュアルにビフォー/アフターの画像をたくさん入れ込んでカラーで印刷す
ると、とてもわかりやすくなります。
「中内、お前はこうやれば喜ぶのね」ということになりました(笑)。


【メンテナンス研修】

生産性向上のための集合研修を、店長から社員、店舗のスタッフさん向けに実施して
います。
メンテナンス研修プログラムを開発し、皆さんに参加してもらってマニュアルの説明
とOJT を実施しました。
研修の内容は
・マニュアルの読み合わせ
・動画マニュアルの視聴解説
・店舗で再現可能なOJTの実践
です。
先に書いたように「メンテナンスは気づきの量だ」という考えをもとに棚を観察しま
す。
次に整理箇所を発表し、他の人からの気づきをフィードバックしてもらい、1分で整理します。それを繰り返します。
これを店舗で実施してもらい、気づきの量を増やす取り組みをしています。
売場整理は永遠の課題です。

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